ハーメルン
黒しか愛せない
閑話〜ダイパリメイク前にて〜


ヒカリの母の教育方針に口を出す気はないが、ミヅキは確実にベッドソムリエの趣味を楽しむ為に間違った知識を教え込んでいるのが明白である。

「そもそも俺はヒカリを誘ってはないから無理しなくていいから」
「あの、私……今日はダイジョーブな日なので……優しくお願いします……」

顔を赤らめながら魔法の言葉での誘い受けにガツンと衝撃が叩きつけられたかのようなショックを受けるコクト。
ダイジョーブ、不安にかられる者への慰めではなく異性交友の免罪符に使えるとは恐ろしい魔法の言葉である。
性欲に支配された思春期男子ならばすぐ様手を出していただろう。
だがコクトはその程度では理性を崩さない。
理性を放棄した衝動任せの行動は身を滅ぼすと知っているからである。

「ヒカリ、ホテルへ連れて来たのはそういうことじゃなくて心配してだからね」
「そうです。コクトさんはそうかもしれません……けど、恥ずかしいところを見られて…ホテルへお持ち帰りされて……身体を清めさせられて……こんなの、もう責任とってもらうしかないじゃないですか!」
「駄目だコイツ冷静じゃない……」

恥ずかしいところは確かに見たけど、色気もへったくれもない粗相である。
ホテルへお持ち帰りではあるが、コクトからではなくヒカリが自宅へ帰りたくないからこその妥協案である。
身体を清めさせたのは事実だが、粗相で汚れていたら誰だってシャワーを浴びろと言うのは当然であり、コクトだってそうしただけである。

この後、責任取らせたいヒカリとそもそも責任取るまでもないコクトによる夜の攻防戦が行われることになった。

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