第十六話 さぁ…共に堕ちよう…
夕刻…渡辺摩利率いる風紀委員会や教師陣、そして達也を始めとした生徒達の手によってテロリストは鎮圧された。
エガリテのメンバーであり、テロリストを手引きした司甲もまた風紀委員会の手により捕縛される。
達也達は気絶した壬生の介抱と事情聴取のために保健室へと集合していた。
保健室には達也以外にエリカやレオ、深雪に三巨頭の三人がいる。
そして目覚めた壬生はポツポツと話し出した。
「入学して直ぐに司先輩に話しかけられたんです。もうその頃には何人か同調者がいました」
壬生の言葉に真由美が反応する。
「そんなに前からですか…」
「はい。そして、その人達を中心に魔法差別撤廃の有志同盟を結束し、その背後に反魔法団体…ブランシュがいたんです」
深雪が達也に言う。
「予想通りですね。お兄様」
達也は頷くと壬生に話しかけた。
「壬生先輩…。少し質問があります」
「なに?司波くん?」
「今回の討論会から前日、何か変わったことはありませんでしたか?誰かと会ったとか」
その質問に壬生は悩みだす。
「えぇと…。そういえば、司先輩に連れ出されて…誰かと会ったような…。駄目…。その後のことが思い出せないわ」
達也の質問に摩利が問う。
「どういうことだ?」
「放送室占拠事件では七草会長に啖呵を切っていたのにも関わらず、壬生先輩は図書館にいました。球磨川の話も同盟側は知らないようでしたし。あれほど、待遇改善を訴えていたのに…です。行動に一貫性がありません」
「つまり?」
「…恐らくですが、壬生先輩達はブランシュに洗脳されていた…のではないかと……」
その言葉に皆が驚いた。
摩利が頷く。
「…確かに、それなら筋が通るな」
そして、壬生はそれを聞いて俯く。
「それって…。あたし達は利用されていただけってこと…?」
「残念ですが」
達也が頷くと壬生は涙を流す。
「何よ…。それ…。あたし達は本気で学校を変えたいって思ってたのに…。馬鹿みたい…」
涙を流す壬生に一同がどう言葉をかければよいか悩んでいる…すると…
『ほ〜んと馬鹿みたいだね』『壬生先輩』
「球磨川!?」
「球磨川君?なんでここに……!?」
保健室の中に球磨川が現れた。
突然現れた球磨川にレオとエリカは驚く。
「く…球磨川くん…」
『やぁ!』『壬生先輩』
『せっかく応援にきたのに、討論会にいなかったって聞いて残念だったぜ』
『「逃げません」とか言ってた癖に討論会で敗北した仲間を見捨てて、図書館で呑気にしてた気分はどうだったかい?』
「そ…それは…」
球磨川の責めるような言葉に壬生が俯く。
そして、放っておけないとばかりにレオが反論した。
「球磨川!壬生先輩は洗脳されていたかもしれないんだ。そんなこと言うな!!」
『うん』『そうだね』
『壬生先輩達が洗脳された結果』『テロリスト達が侵入して、学校がパニックになっても』
『校舎が破壊されても』
『挙句の果てに同じ二科生が恐怖のどん底に陥っても』
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