アタシの生き方、アタシの生き様。
――走る、走る、森の中を、どこまでも速く、早く、眼前の敵を撃滅する為に。
「ク、クソォッ! な、何で同族が俺の命を狙うんだよぉっ!?」
アタシから逃げ続けている片腕の無い鬼畜生が喚き散らしているが知った事じゃない。
だってアタシ、お前らの同族じゃねぇし。
大体テメェは命乞いをした人間を見逃したりしたか? 折角のエサを逃がすワケねぇよなぁ、だってテメェは人喰い鬼だもんなぁ。
「そ、そうだ! 俺と組まねぇか!? あ、アンタの下にならついてやってもいいっ!! あの位の村なら、アンタとなら鬼狩りにバレる前に一網打尽だぜぇっ!?」
「………………ハァ……」
素晴らしい提案をしよう、とでも言わんばかりに戯言を抜かす鬼にため息が出る。いやはや全くこの鬼は本当にアタシの事を馬鹿にしてやがる。
アタシは鬼が群れない事もその理由も知ってるし、隙を見せたアタシを喰うつもりなのも、その憎悪に野心たっぷりの目を見りゃ判る。
「チッ……」
……あぁ、胸糞が悪い、とっとと消えろ、人の世の塵が。
「――――……グレンテッセン」
疾走から更に加速し、高速で滑るように接近して抜刀し、鬼の両足を叩き斬りつつ背後に回り、足を失い落ちて来た鬼の体に追撃の一閃を叩き込み首を落とす、それで終わりだ。
「……お、前、その姿で、鬼じゃない……のか?」
「今際の際に気付けただけ褒めてやる……来世は屑に堕ちるんじゃねぇぞ」
塵になって消えていく鬼に背を向けつつそう呟きながらその場を去る、少し前に狩った雑魚鬼は気付かれる間もなく背後からアサギリで切り刻んで終わりだったが、今回は少し手間取った。
そこそこ人間を食っていたせいで実力がついていたらしい、アタシの奇襲がバレてしまった……とはいえ、奇襲に気付けただけで結果はご覧の通りだが。
……この世界に来てから早ふた月、定期的に奴らの同族と勘違いされるのは、もう慣れた……
いや、鬼狩りの連中に間違えられるのは半分仕方ないと思うが、鬼にまで勘違いされる事があるのは何なんだ。
そのうち半分くらいは匂いで気付いて「姿を真似て誤魔化せる訳無いだろ」と馬鹿にした上で襲い掛かって来やがった、別にコレはテメェらの真似じゃねぇし生まれつきだクソが!
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