アタシの生き方、アタシの生き様。
お陰さまで気付けば英雄の一角だ、アタシは英雄とは程遠い存在なのに。
それでもオラクルの皆は、そんなアタシを大事な仲間だと、友だと言ってくれる。そんな仲間達が、戦友達が、アタシにとっちゃ掛け替えのない大事なモンなんだ。
だからアタシは、鬼を狩る事はすれど鬼殺隊に所属する気は欠片も無い、二束の草鞋を履く気は無い。気持ちの問題と言われるかもしれないが、これって結構大事な事なんだ、自分が何者かを見失わない為に。
大体、仲間意識の無い奴らの中に混ざっても不和を生むだけだ、誰も得はしない……ただそれを勘定に入れても、アタシの力を利用したいんだろうなぁ、鬼殺隊の当主殿は。
だが、アタシと鬼殺隊じゃ鬼に対する感情が違いすぎる。
あいつらは『鬼』に対して強い気持ちを持っている、熱量を持っている。これ以上被害を増やさない為とか、同じ思いをする人を増やさない為とか、鬼への復讐心とか、色々あるが、アタシには『鬼』に対するソレが無い。そういう熱量の違いは、いずれ大きな軋轢を生む。
アタシは、アークスだ。現地の危険生物の排除による生態系の保護・維持が仕事の一つだ。
仕事に対する使命感とかやる気、熱意はあれど、鬼に対するスタンスはどちらかと言えば害獣駆除と変わらない。
そして、アタシ自身の『理不尽な死に対する抵抗の意思』が『全ての鬼』に向く事は無い。アタシが救いたいと思っても救えないヤツは居る、それを嫌というほど経験して、理解しているから。
アタシは全てを救える英雄じゃない、アイツらとは違う、身の程を弁えてる、全てに手を伸ばして本当に大事なモンを取りこぼすような愚かな真似は決してしないと心に誓ってる。
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