ハーメルン
さして仲良くない職場の先輩と飲み会の後に毎回セックスして繰り返し記憶をなくしている百合
さして仲良くない職場の先輩と飲み会の後に毎回セックスして繰り返し記憶をなくしている百合


 目が覚めると、セックスをした後だった。

 朝の日差しが差し込むベッドの上で、一糸まとわぬ姿で起き上がった真雪は、隣でふてぶてしく寝ている巨乳の女を見下ろす。

 見覚えのある顔だった。
 というより、会社の先輩だった。

 昨日は会社の飲み会があって、酔いつぶれた真雪はこの部屋に運び込まれてきたのだろう。
 記憶は全く残っていない。

 もしかしたら服を汚すような事故があって、先輩が親切にも脱がせてくれたのではないかと、そんな淡い期待を抱いて室内を見渡してみたものの。
 玄関からベッドまで乱雑に脱ぎ捨てられた衣類の数々が、記憶のない夜のまぐわいの激しさを物語っているだけだった。

「嘘だよね……」

 誰も答える者のいないその空間で、真雪は独りごちた。
 これまでの二十四年間を品行方正に生きてきて、色事に一度もうつつを抜かすこともなく、大学卒業までを一直線で進んで大企業の事務員として毎日を真面目に生きてきた真雪が、まさかさして仲良くもない会社の先輩を相手に花を散らしてしまうなんて。

「ふぁ……ん……? 真雪ちゃん……?」

 牛のように寝ていた乳のデカい女が起き上がった。
 スルリと肌を滑って落ちるタオルケットから、その胸の脂肪とは対極にくびれたウエストが露わになる。

 この人は名を立花と言ったはずだ。
 エロくてよく名前が挙がるので覚えている。

「あれ? なんで裸なの? どうして、真雪ちゃんがここに?」

 すっかり混乱している様子の立花に、真雪は横目で鋭い睨みを利かせた。
 人の初めてを奪っておいて記憶がないとは甚だ許しがたい悪女である。

「どうしてもこうしても、見たままですよ。……顔を洗わせてもらいますね」
「は、はい」

 真雪は洗面台に向かう道すがら、脱ぎ散らかされた服を一枚ずつ拾って着ていく。
 立花の分も拾ってやろうと考えたが、スイカの持ち運びに使えそうなふざけたサイズのブラジャーが目に入った瞬間、特に意味はないが止めることした。

「……あれ?」

 洗面台を眺めてみると、真雪が贔屓にしているブランドの化粧水や乳液がチラホラと置いてあることに気づいた。
 立花は後輩に手を出すような魔性の女だが、気が合う部分はあるのかもしれないと少しだけ前向きになる。
 不慮の事故とはいえ純潔を捧げた相手なのだから、嫌いになるよりは好きでいた方が建設的だろうと真雪は考えたのだ。

 顔を洗ってリビングに戻ると、立花はベッドで芋虫をしていた。
 服も着ずに布団に簀巻きになって、しかし寝ることはなくコソコソとスマホをイジっているのである。

 たしか職場では気の利くしっかり者で通っていたはずだが、蓋を開けてみればこの有り様だ。
 立花の隠れファンだとかのたまわっている男どもに見せてやりたい。
 いやこの人とセックスしたとバレるのは困るからやはり誰にも知っていてほしくない。

「立花さん、少しお話をさせてください。具体的にはこの悲惨な事故の取り扱いと今後の接し方についてです」
「えー。もういいんじゃないかなぁ」
「よくありません。先輩にとっては豊富な経験のうちの一つかもしれませんが、私にとっては掛け替えのない一つを失った重大な悩みなんです」

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