マックス号生還せよ!(Ⅲ)
ゴドラ星人の指示でマックス号船員はいくつかの気密区画に押し込められ、俺とアマギ、そしてタケナカ参謀だけは一等船室に分けられた。
流石ゴドラ星人、人質の重要度でランク分けしてやがる。
いざとなったら、俺達三人だけ残して他は殺す気満々だ。
二人が起きてきたら、マックス号はゴドラ星人に拿捕され、人質として捕まっている事を伝える。
「ソガ隊員、なんということを!」
「……いや、むしろよくぞやってくれた。私の意識がハッキリしていれば同じようにしたかもしれん」
「えッ?」
「奴らの言によれば、例え断ろうと数人が人質になっていたのは変わらない。それならば一人でも多くの人員を確保するべきだ。」
「そうして全員が揃っていれば、ここを取り返すチャンスがあるかもしれんと思ったんだ」
「……なるほど」
「ソガ隊員の言う通り、このマックス号には精鋭中の精鋭ばかり選抜してある。彼らを一度に失うことは、マックス号一隻だけをくれてやるより遥かに損失だ。船は再び建造できるが、一度失った命は二度と再び戻ることはない」
「では、今は助けを待つしかないか……」
「基地の仲間を信じて、耐え忍ぶんだ」
ああ良かった。
タケナカ参謀が理解ある人で助かった……
実際、この人の人望のおかげで艦長たちが踏み留まってるまであるからな。
すると艦の後尾に微かな衝撃が走る。
「む! なんだ今のは?」
「まるで何かがドッキングしたような感じでした」
……もう来たのか、早いな。
しばらくすると船室のドアが開いて、バイザーを降ろした宙間装備の隊員が現れる。
顔が見えなくてもすぐ分かる。あの筋骨隆々な体系はフルハシ隊員だ。
「ソガ! アマギ! それに参謀も! ご無事だったんですね!」
「……うむ、現在は虜囚の身だがね」
「なんですって?」
「それよりも、ここに来るまで、敵と会わなかったのか?」
「敵? 誰だいそりゃあ?」
「フハハハハハハ!!!」
得意げな高笑いと共に、肩を震わせてハサミを振りかざす異形の侵略者が姿を現す。
「それは我々、ゴドラ星人ダ!」
「くそうッ!」
「やめたまエ!」
フルハシが腰のウルトラガンに手を伸ばすが、それよりも早く、シャコじみた恐るべきスピードでゴドラ星人のハサミが突きつけられる。
「今更無駄なことダ……なんの為に貴様をこの部屋まで素通ししてやったと思ウ?」
「素通しだと……ハッ!?」
再び艦尾において軽い金属音と衝撃を感知した我々は、フルハシの乗ってきたホーク2号が奪われたのだと悟る。
「貴様の代わりに我々の仲間が向かったトコロダ……今現在、地球防衛軍の注意力は、船の消失した海域に集中していル……その隙に、我々は、地球を、征服するダロウ!」
「なんだと!? ……基地の仲間や、ウルトラセブンが許すはずがない!」
「そうだ、この地球には、我々防衛軍だけでなく、頼りになる強力な助っ人がいるんだぞ!」
「ウルトラセブンだト……? ワッハッハッハ! そちらはとっくに対策済みダ。先に潜入していた工作員が既に倒したワ!」
「そんなことできるもんか!」
「いまこの船を助けに来ないことガ、なによりの証拠だとは思わんカ……?」
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