序-8
再び現れた使徒。第五の使徒と称されるその巨大存在の姿は、NERV職員をどよめかせる異様なものだった。
幸い、シンジのお姫様抱っこ全力疾走からの車呼び出しというファインプレーによってパイロット2名は既にNERV本部に到着しており、第3新東京市への到着にはまだ猶予があるものの、対策を決めかねているのが現状だ。
「またこれはなんというか、変わった使徒ですね……焼きイカとカブトガニのキメラ?」
「変な例えだけど、シンジ君の言うこともわからなくもないわね。目標の位置は?」
「太平洋上を高速で移動中」
「分析パターンは?」
「パターン青、間違いなく使徒ね。……ミサト、どうするの?」
「もちろん、先手必勝よ! ……とはいえ、まだ時間があるなら作戦会議はしたいところね。差し当たって、総員第1種戦闘配置! 民間人の退避を優先。第3新東京市を戦闘形態に移行して対空迎撃準備! シンジ君はエヴァに搭乗して発進準備。エヴァに乗るまでは端末で、乗ってからはエヴァ本体から発令所に回線を繋いでちょうだい! ……レイは此処で待機ね。まだその怪我じゃエヴァには乗れないし、何より零号機はまだ凍結中だもの」
「了解! 総員第1種戦闘配置!」
発せられた命令に従い動き始める職員達。そんな中、端末越しのシンジを交えて、ミサトとリツコは作戦会議を開始する。
「リツコ、ぶっちゃけ対空迎撃が役に立つ可能性は?」
「注意を引くにはいいかもしれないわね。でも、使徒のATフィールド相手じゃそれ以上の効果はないわ。こちらの最大攻撃力はやっぱりエヴァよ」
『でも相手の出方も分からずとりあえず出撃っていうのはナシですよミサトさん』
「そりゃまあそうよね。————日向君! 兵装ビルの地対空誘導ミサイルの最大射程内に対象が侵入した瞬間に攻撃を開始してちょうだい! 数は10発! 着弾観測及び誘導用に 無人航空機3機を出撃! ミサイル着弾後は機銃掃射で挑発してデコイに使うわ!! まずは相手の出方を探りましょ!」
「了解! ドローン発進! セミアクティブレーダー式ミサイル誘導装置、目標を捕捉! 目標の最大射程距離圏内侵入までカウント5、4、3、2、1————発射!」
号令と共に発射されていく誘導ミサイル。それに対する使徒の反応は、やはりATフィールドによる絶対防御。だが重要なのはその後。攻撃を受けたと認識させた後にブンブンと周りを飛んで挑発する無人機に対し、使徒がどう出るかだ。
そして、その答えは自在に伸縮する長大な光の鞭による溶断であった。
「目標、超高エネルギーを鞭のように使用!」
「マヤ、MAGIの解析結果は?」
「はい先輩! 目標はATフィールドを鞭状に集束し、内部に充填した大量のプラズマを接触面から任意に放出しているようです……!」
「プラズマ溶断機を振り回してるってわけね。……リツコ、目標の攻撃速度は?」
「軽く音速超えよ。……ATフィールドを中和しても砲弾の類は効かないと見ていいかも知れないわね。MAGIの試算では鞭で容易く切り払われるわ」
「あちゃー……銃弾斬りなんてのは漫画だけにして欲しいわね全く……って事は今回も近接戦闘?」
「その場合もやはりあの鞭が厄介ね。……こちらもリーチで対抗したいところだけれど……初号機用に条件に合致した武装は無いわ。至急、実体弾に依らない遠距離兵器の開発案を検討しておくけれど、今回は無理よミサト」
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