ハーメルン
旧世紀エヴァンゲリオン
序-9

「碇君。エヴァンゲリオン初号機、少々『うまく運用しすぎ』ではないかね?」
「左様。死海文書に記された筋書きに比べていかんせん圧倒的に勝ち過ぎているのでは?」

 暗闇の中、碇ゲンドウを取り囲む様に空中に投影されたモノリスから放たれる、難癖じみた叱責。それに対して、ゲンドウは動じる事なく反駁する。

「使徒殲滅に問題はありません。全てはゼーレのシナリオ通りに」
「ああ、碇の言う通り、大枠では規定通りだ。……しかし碇、初号機のみでの使徒殲滅に支障がないのであれば、貴様の言う零号機の凍結解除の必要性は低いのではないか?」

 ゲンドウの発言に対して、そう述べるのは『01』のナンバリングがなされたモノリス。

 そのモノリスが問う内容は、ゲンドウから上げられた稟議書に関する内容であった。

「初号機が第3の少年によって安定駆動しているのは事実です。しかし、冗長性は必要です。零号機の凍結解除については御理解頂きたい」
「しかしだね……」
「初号機の実戦配備に続き、2号機と付属パイロットも、ドイツにて実証評価試験中です。しかしながら3号機は目下建造中ですので、それまでの繋ぎはやはり必要かと思いますが」
「まぁ、良かろう。NERVとエヴァの適切な運用は君の責務だ。くれぐれも失望させぬように頼むよ」

 そう言い残して消えていくモノリス達に対し、ゲンドウはサングラスを妖しく輝かせて、再び強調する様に言葉を紡ぐ。

「分かっております。全てはゼーレのシナリオ通りに」


 * * * * * *


「綾波さん、もうギプスは良いの?」
「ええ」
「じゃあお弁当もそろそろ————」
「必要」
「————そう? じゃあもう暫く作って来るよ」

「……のう委員長。あれは付き合っとらんのか?」
「……なんで私に聞くのよ鈴原」
「ワシに乙女心は分からんのやなぁとこの数週間で死ぬほど思い知ったからやな」
「……私にもわかんないわよそんなの」
「そうかぁ。ほなどうしようもないなぁ」
「……それより鈴原、今日もちょっとお弁当作り過ぎちゃったんだけど」
「なんやまたかいな。委員長最近どうしたんや、しんどいんか?」
「そう言うわけじゃないんだけど、ついうっかりっていうか? ま、まぁ理由なんて良いじゃない、今日も手伝って欲しいってだけよ!」
「しゃあないな……まぁワシからしたら美味い弁当食えるんは万々歳やけど、委員長ホンマにメシ代は要らんのか? タダは流石に……」
「良いの!」
「……ハァ。俺からみたらトウジと委員長が付き合ってないのも謎なんだけどな……」
「な、なに言ってるのよ相田君!?」
「そ、そうやぞケンスケ、なんで委員長がワシなんかと……!」

 お昼休みの2-Aで繰り広げられる、いつもの一幕。シンジがレイに弁当を渡して、委員長ことヒカリがレイの食事を手伝うという習慣は、いつしかシンジ、レイ、ヒカリ、トウジ、そしてケンスケの5人で食事を共にする集まりと化していた。

 そして、その中で意外にも急接近したトウジと委員長の関係は、シンジとケンスケが生暖かく見守るほどに初々しい。

「まぁケンスケの言うのも分かるけどね。お互いに意地を張らなくなるまでは見守ってあげる方がいいんじゃないかな」

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