ハーメルン
芹沢あさひ憑依伝
日記3


 ▼月●日

 浅倉透の力を手に入れて以来、自分でも少し調子に乗っている自覚がある。

 今日も特に何の意味もなく街中でオーラを纏って人々の注目を集めたり、店で店員を呼ぶためだけにオーラを発動したりなどしてしまった。

 あれは1日に何度も使えるような技ではないが、不完全ながらも習得できた嬉しさでついつい大した意味もなく使ってしまう。

 毎日のトレーニングでただでさえ疲れているというのに、我ながら馬鹿なことをやっていると思う。反省しよう。



 ▼月□日

 ここ最近は歌のトレーニングに力を入れていたおかげか、とうとうカラオケの採点では満点が連発されるようになってきた。

 高音・低音の歌い分けやビブラートなど、技術的な面は練習すれば必ず習得してしまうのがあさひの才能だ。
 今まで満点を取れなかったのも、ダンスなどに比べあまり歌の練習をしてこなかっただけで、あさひならもっと早くこの段階まで到達していたのかもしれない。

 カラオケでの練習で辿り着けるレベルとしてはとりあえず頭打ちだろう。これからは他の練習方法も考えなくては。



 ▼月▼日

 原点回帰と言うべきかなんというか、浅倉透のオーラの習得や歌の練習が終わってしまえば、今までそれに費やしていた時間は全てダンスの練習が持っていくことになった。

 「あさひ」がここまでダンスにのめり込むのはやはり、芸術という答えがない分野だからなのだろう。
 人々を魅了するために、より良い動きを、もっと洗練された振付を、といった具合で追求していけば、カラオケの100点なんかとは違って「ダンス」にそうそう終わりがくることはない。

 とりあえず今はネットにあるダンスの動きを片っ端から習得してはいるが、最近は自己流のアレンジを加えることも多い。
 創作ダンスなんかにも手を出してみるべきなのだろうか。アイドルに求められる技能ではない気もするが。



 ×月◎日

 「ボーカル」、「ダンス」、とくれば次に挙げられるのはやはり「ビジュアル」だ。

 浅倉透のあれは「ビジュアル」を極めた先に辿り着く一つの境地ではあるのだろう。
 しかし現在俺の力量ではそこに一瞬しか立てない以上、前も書いた黛冬優子に代表されるような、人に自分をより良く見せる技術としての「ビジュアル」のスキルも習得しておかなければいけない。

 そう思い、鏡を購入して色々とポーズを決めたりしていたのだが、これが思っていたよりずっと楽しい。

 そも鏡に映っているのは超絶美少女芹沢あさひであり、彼女は自分のして欲しいと思ったポーズをNGなしで全てとってくれるのだ。

 自分の可愛さに自分で悶えるという、傍から見たらかなり恥ずかしい時間を満喫していれば、いつの間にやら2時間は過ぎていた。
 明日はもっと真面目に取り組まなければ。



 ×月□日

 歌唱技術の更なる向上を目指して色々な歌手を調べていたら、「八雲なみ」の曲を見つけた。

 八雲なみ。
 あの天井努がプロデュースした伝説のアイドル。
 引退して20年余り経つにも関わらず、アイドルマニアたちの間では「最高のアイドル」と評されるほどの存在。

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