ハーメルン
【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)
第20話 東京姉妹校交流会ー団体戦②ー
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「のーりーとーしーッ!!!」
「「!?」」
私の大声に憲紀だけでなく、伏黒君もこちらを注視した。『天与呪縛』で肺活量も底上げされている私の全力の叫びだ。これで気づかぬ者はいないだろう。
戦いを中断し、憲紀はこちらへ向き直った。
「なんの真似だ、鶫」
そう問いかける憲紀の雰囲気はいつもの、我が家にいるときのものとは違う。ヒリついた冷たい気配。
目の前にいるのは加茂家次代当主としての憲紀だ。
「なんの真似? それは私の台詞だ」
「? 何を言っている」
「決まっているだろう。虎杖の殺害の件だよ」
「…………」
そう言うと、憲紀は鋭い眼光をこちらへ向けた。口を出すなということだろうが、
「彼には恩があるのだ。憲紀にも話しただろう。彼は私にお金を貸してくれた」
「……それとこれとは話が別だ」
「それに憲紀や京都校の皆はまだ彼のことを知らないのだろう?」
「知る必要などない」
一蹴。知る必要などない、ね。
「彼の本質はきっと善性だ」
「………………」
「このまま、何も知らないまま彼を殺してしまったのならば……きっとお前は後悔する」
「………………」
私の言葉を受け、憲紀はしばらく沈黙する。時間にして10秒弱。それから憲紀は私に背を向け、一言、私へ言葉を返した。
「虎杖悠仁は『両面宿儺』を宿している。私は呪術規定に基づき、彼の死に賛成しているだけだ」
「話はもうない。早く学長の元へ帰れ、鶫」
もう話す気はないということなのだろう。
私に背を向けた憲紀は、伏黒君に向かい、構え直した。
「……なるほど」
憲紀の意見はよく分かった。ならばーー
ーーグンッーー
ーーバキッーー
「……なんの、つもりだ」
私の不意討ちの跳び蹴りは止められてしまう。その反応速度、なかなかやるじゃないか。
「なんの……なんのつもりだと聞いているのだッ! 加茂鶫ッ!」
吠える憲紀。
なんのつもり? そんなの決まっているだろう?
「力づくでお前を止めるんだよ、加茂憲紀!」
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『どうした、恵。憲紀とは終わったのか?』
「それがですね……」
『? なんだよ、歯切れが悪いな』
「前に真希さんから聞いてた加茂さんの従姉妹」
『あぁ、鶫か? あいつがどうした?』
「その人が乱入してきて、加茂さんと戦い始めました」
『はあ?』
ーーーーーーーー
一瞬、憲紀が視界から消える。私の動体視力でも見失うほどの速度で動いた。
「『赤鱗躍動』か!」
ーーバギッーー
死角からの一撃を受け止める。攻撃を受けた左腕がビリビリと痺れるほどの怪力は本来の憲紀にはない。つまりはそういうことだ。
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