ハーメルン
【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)
第3話 教えてもらう憲倫くん
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「そうダ。ここをクリックしロ」
「ふむ。そうすると……おぉ、なんと!」
かれこれ3時間ほど、メカ丸にいんたーねっととやらを教わっている。どうやら彼は教え方が上手いようで、明治時代の人間である私でも少しだけいんたーねっとが使えるようになっていた。
「ここである程度の世の中の動向は確認できル」
「随分と便利な世の中になったものだ……」
思わずそんな言葉が漏れる。
私の知る情報網など新聞程度。それがこのいんたーねっとを使えば、いつでもどこでも世の中の最新情報を手に入れることができるというのだから、150年という月日の流れは凄まじいものだと嫌が応にも実感する。
と私の一人言に、メカ丸は反応する。
「まるで老人の言だナ」
その言葉に少し心臓が跳ねる。
老人。老いた人間。的を射ている発言だった。
まぁ、転生の事実がバレたからどうこうという訳ではない。だが、加茂憲倫の名はこの時代ではあまり印象がよくないようだから、せっかく知り合った彼に悪く思われるのも考えものだ。
「記憶喪失など総じてそんなものだ」
「本当に不思議な人物ダ」
そんなやりとりを交わしていると、
「メカ丸、そろそろ任務の時間だ」
憲紀が会話に入ってくる。どうやらメカ丸も呪術高専所属のようで、これから2人で任務だという話であった。
「もうそんな時間カ」
「助かった。礼を言う」
「いや、俺は何もしていなイ」
「謙遜しないでくれ。本当に助かったのだ」
「……役に立てたようでなによりダ」
機会があればまた会おう。
そんな約束を交わして、私は任務に向かうというメカ丸と憲紀を見送った。
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2人が部屋から出て、約1時間。
私はいんたーねっとに没頭していた。元々、好奇心は強い方だったから、知識がこうも簡単に手に入るのは気持ちがよいものだった。
ーーボヤッーー
「っ」
ずっとぱそこんを見ていたせいか、ふと目の疲れを感じた。
「なるほど。このような弊害もあるのだな」
軽く目をつぶり、目を休ませる。同時に、その場で上体を倒し横になる。畳とは違い、ひんやりした床がどこか心地いい。
視界を閉じ、横になったまま、考える。
「加茂家は今、どうなっているのだろうか」
現在の加茂家は、私が知るあの頃から150年が経過しているはずだ。勿論、私のことを知る人間などいるわけもないが、それでも家屋自体はあの頃のままの可能性もある。
未練がある訳では決してないが、少し懐かしい気分に浸りたい気持ちがないと言えば嘘になる。
……そういえば、憲紀から連絡先としてけーたいとやらの番号と加茂家自体の住所を聞いていたな。
確か、玄関先の棚にそれが書かれた切れ端があったはずだ。
「……行ってみるか」
私はおもむろに起き上がり、出掛け支度を始めた。
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