ハーメルン
ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念
ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念
中央トレセン学園。そこは全国で一番規模の大きいトレセン学園であり、トゥインクル・シリーズへの参加、活躍をするために毎年有望そうなエリートウマ娘ちゃんたちが入学してくる。
日本で一番大きい学園であるため、施設が非常に充実しており、それらを駆使して日々トレーニングを積んでいく。
……だけど、たまに例外としてトレーニングよりも別のことを優先する娘もいたりする。そう、その最たる例こそ私の隣で一緒にウマ娘ちゃんを眺めてるこの幼馴染───
「あぁ……今日もウマ娘ちゃんたちが尊いいいっ!!」
───そう、アグネスデジタル。わたしの幼馴染で、親友───のつもり。
デジちゃんはこれだけ見てもわかる通り、ウマ娘ちゃんが好き。何よりも好き。三度の飯なんかと比較できないほどにウマ娘ちゃんのことが好き。だからこのトレセン学園に入って毎日こうして陰ながらウマ娘ちゃんを観察しているみたい。
「きゅぅ……」
……あ、倒れた。デジちゃん的に言うなら、限界突破しちゃったって感じかな。それとも尊死しちゃった、かな。
「ってそれは置いといて……連れていかなきゃ」
デジちゃんが倒れちゃうのは珍しいことじゃない。小学校のときまではそこまでなかったんだけど、トレセン学園に入学してからは結構な頻度で倒れるようになった。大体平均して一日三回で少ない程度。
そのときから、デジちゃんを保健室まで運ぶのはわたしの役目。
「よいしょっと」
いつも通り背負って保健室のほうへ歩き出す。……軽いなぁ、ちゃんと食べてるのかな。ウマ娘のことだけじゃなくて、自分のことももっと大事にしてほしいんだけど……。
デジちゃんは特定のウマ娘ちゃんのことが大好きというわけじゃなくて、全ウマ娘ちゃんが好き──デジちゃんに言わせれば箱推しってこと──らしい。一応その中でも特にいいなと感じているウマ娘ちゃん同士の組み合わせ──カップリングっていうらしい──があるみたいだけど、大体全ウマ娘ちゃんに平等に愛を注いでいるみたいだ。
逆に言えば、デジちゃんは基本的に特定のウマ娘ちゃんを特別視しない。誤差のような違いがありはするものの、ほとんどどのウマ娘ちゃんでも同じように接している。
それは、幼馴染であるわたしも例外じゃない。……あの時から、わたしにとってはデジちゃんは特別なのに。
「……」
まったく見てくれないなんてことはない。嬉しいことに、わたしが頑張ってるときに悶えてくれてるデジちゃんがいるから、そこは大丈夫。
でもそれだけだ。どんなに頑張ってもわたしは箱推ししてるウマ娘ちゃんの一人で、それから逸脱した特別にはなれない。
だけど『わたしだけを見て』というところまではいかない。ほんの少し……ほんの少しでいいから、自分のことをよく見てほしい。
「……ふぅ」
いつの間にか保健室へ到着。先生に許可を取ってベッドへと寝かせる。
「……ふふ、すごく幸せそうな顔」
実際いいことはあったからかな。誰が見てもこれはそう感じると思う。この顔が、もっとわたしに向けられたらいいのに……。
「───っ! ダメ」
無意識に伸ばしていた腕を反対の腕で叩き落とし一旦深呼吸をする。
「……これだけはダメ。こんなのデジちゃんは喜ばない」
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