ハーメルン
ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念
問うデジたんと、問いを受ける幼馴染オリウマ娘ママ概念
「──あら、何かしら。あぁ、まさかお金の話? この子ここまで……。……ごめんなさいね、それはまた──」
「違います」
トーンがまるで違う。その一言で、それだけで場の空気はデジタルのものになってしまった。
返された女性はおろか、やよいやたづな、ナナやタキオンでさえもその場から動けなくなり、何も言うことが出来ない。
「……まず、あなたは勘違いをしています。あたしはこの場所に、あたしの意思できています。そもそも、ここにナナさんを連れてきて、こうしてお話を聞いていたのもあたしが理事長さんに頼んだことです」
「──は?」
デジタルは語る。ナナから話を聞いたあの日、すぐに理事長室に向かい話をしに行ったことを。
『──理事長さん、今月末、こちらにお客様が来られる予定などはありますか?』
『予定? ……回顧! 確かに一つだけ予定はあったな。それがどうかしたのかな?』
『もし、その方がナナさん──ナナシノゴンベエさんのお母様である場合……お願いがあるんです』
そこから話を進め、自分たちは隠れておくから、決して邪魔をしないからどうか話を聞かせてくれないかと頼み込んだのだ。当然ながらこれはプライバシーのこともあるため、当初それを行うのをあまりよくは思っていなかったやよいではあったのだが、強い頼み込みと、ナナも聞いておくべき話であるかもしれないし、ちょっとナナは不安定気味であるので自分らはそれを支える役割を取りたいということで、了承したのだ。
「──そ、それならおかしいじゃない! なんで理事長がこれを止めようとしないのよ!」
そう、本来ならこうしてデジタルらがこの話に関わることはなかったのだ。しかし、今こうしてデジタルが中心に立ち、やよいは驚きこそしているもののそれを咎めようとはしていない。真剣な目つきで女性の言うことに同意の姿勢も示しつつ、述べる。
「──肯定。だがしかし、デジタル君の抱いている想いと私の抱いている想いはおそらく今同じ。加えて私から言うよりは重みがある。そう判断した。ただし場合によっては勿論止めさせていただく」
「なによ、それ……!」
女性からすれば、先ほどの仮定が崩れるため、何が何だか分からなくなってしまう。
「色ッ々言わせていただきたいことはあります。ナナさんがどれだけ頑張っているのかとか、ナナさんの体調についてとか……。ですけど、キリがないですし、聞くお時間もないでしょう。ですから、せめてこれだけは聞かせてください」
改めて女性に向き合い、ずっと気になっていたことを問う。
「──何故、貴女はナナさんに結果を求めるのですか?」
同意するように、やよいは深く頷く。
先ほどの話、加えてナナがデジタルとタキオンにした話、両方に出てくるキーワード。絶対にナナに結果を与えたいという強い意思。その根源がどうしても気になっていたのだ。
「そ……それはっ、この子が結果を求めているから」
「本当にナナさんがあなたにはっきりとそう言ったんですか?」
女性の主張が正とするなら、ナナはもっとレースに対してもっと乗り気なはずだ。母親のこれらの提案に即座に同意する、または代案を考案するくらいには積極的になるはずなのだ。
「っ……」
答えられない。記憶を探し当てようとするが、見つからないからだ。
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