ハーメルン
ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念
告白をしてしまった幼馴染オリウマ娘と、答えを出すデジたん概念
零して、しまった。告げてしまった。一人ならまだ独り言として許されたかもしれないけど、もう引き返せない。
「……へ?」
まだ理解が追い付いていないのか、ぽかんとした顔を浮かべているデジちゃん。
もしや、伝わってない……? だったら、引き返すなら今だ。冗談だよって。そういう意味じゃなくて、友達としてだよって。
でも……また、封じ込めるの? 今みたいに、いつ爆発するかわからないこの気持ち。はっきりと伝えるなら最適なのは今だ。零したこの勢いで伝えちゃうべきなんだ。
何より、伝えたい。好きなんだって。世界の中で、何よりも。
「だいすき、なんだ……っ!」
手に力が入って服をぎゅっと掴んでしまう。全身が熱い。
「あのひ……。わたしをみつけてくれた、あのときから……ずっと、ずぅっとすき……!!」
時間や言葉は多くなく、むしろ少ない方。でも、その中にはわたしの全てを込めた。
だけど、自分の中にある全てを吐き出きってしまったその後────とてつもない罪悪感がわたしを襲い始めた。
「(──わ、わたしはなんてことを……?!)」
デジちゃんの嫌がることはしないという、当然の事であり最初期から誓っていたことを破る行為をしてしまった。確かにこれはわたしの本音。でもだからといってそれを押し付けるのは悪い行為。デジちゃんが受け入れるわけがないと分かっているのに、やってしまった。
折角助けてもらったのに、なんで恩を仇で返すようなことをしてしまったんだ。絶対デジちゃん引いてる。顔なんて見られないけど、そうに決まってるはずなんだ。
「じゃ、じゃあわたし行くね! あは、あははは!!!」
思わず走り始める。とにかく、ここから離れたかったんだ。
「──あっ、ナナさんっ!!」
戻ってきたデジちゃんがわたしを呼ぶ声が後ろから聞こえてくる。でも、無理だ。もう駄目なんだ。やってしまったんだ。
──もうわたしは、デジちゃんといられないんだから。
望んでいたはずの『今まで通り』を自分の手で壊してしまったんだという自責、そしてデジちゃんに対してとんでもなく酷いことをしてしまったという罪悪感らに苛まれながら、わたしはひたすらに自身の部屋を目指して走り続けた。
──────
────
──────
全部これで元通りに──いえ、終わったんだなと思いました。ナナさんを縛り付けていたナナさんのお母さんと和解して、再スタートをして、もう無茶をしなくてもよくなくなって。ようやく、いつもの見たかったナナさんのお顔がそこにあって。
もうナナさんを縛るものは何もない。ここからはナナさんのやりたいことを自由にやって、楽しく学園生活を送ることが出来る。
そんなナナさんを今後とも見守らせていただきたいと考えていたその矢先──
『すきっ……!』
『だいすき、なんだ……っ!』
顔を真っ赤にして身体を震わせて、でも強い瞳であたしを見つめて告げられたその言葉が頭から離れない。
あたしももう中学生、さらに年不相応に様々なもの事を知っていることもあって、あの言葉が何を意味するくらい知ってる。
──告白、されてしまった。しかも、ウマ娘ちゃんのナナさんに。
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