ハーメルン
ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念
ちゃんとした気持ちになるまで避けようと決めたデジたんと、急に避けられてしまいどうすればよいのか分からず助言を求める幼馴染みオリウマ娘概念
歩き出すタキオンさんの後ろを着いていく。なんとなく、わたしがどんな話をしたいのかをもう察してくれているようだった。
連れてこられたのは、色んな道具が置いてある教室。何か不思議な色をしたビーカーや試験管があって、勝手に触ると大変なことになりそうだから、慎重に入った。
「好きにかけてくれ」
「えっと……ここでいいですか?」
「いいとも」
周りを動かさないように注意して腰かける。タキオンさんも慣れたようにすっと座ってわたしのほうを見る。
「さ、聞かせてもらおうじゃないか。おそらくデジタル君のことだとは思うが……」
「! そうなんです」
「ふむ、やはりそうだったか」
分かっていたように頷くタキオンさん。
「実は──」
タキオンさんに何があったのかを話していく。最近避けられているっぽいこと。前みたいに過ごせていないこと。何か忙しそうなこと。
一通り話し終えた後、タキオンさんは話し出す。
「──ふむ、なるほどねぇ。最近デジタル君に元気がないように見えていたが、果たしてこれが関係しているのか……」
「! デジちゃん元気ないんですか?!」
乗り出して言ってしまった。そんな、デジちゃんが元気なさそうだなんて、分からなかった。結構長く一緒にいさせてもらったのに……! もしや、体調不良だったり……?
「ただ、何か病気だったりということはなさそうだと思うね。熱はないしそれらしい症状も見られない。そういうのじゃなくて、精神的なものだと思ってるよ。てっきりナナ君と喧嘩でもしたのかと思っていたんだが……」
「わ、わたしはそんな、デジちゃんの嫌がることなんて……っ!!」
「あくまで私の想像さ。可能性は低いと思っていたが……その様子や話からして違うみたいだね」
互いに一息つく。聞いてる感じ、デジちゃんが何かに追われているというわけではなさそう。ただデジちゃんは隠すのは上手だから隠れて何かしてたりするのかもしれない……。
「手詰まり、か。こうなると本当にデジタル君しか真相は知らなさそうだ」
「そう、ですね……」
結局、何も分からないまま。つまりわたしに嫌気が差している可能性も十分にあるってこと。それだったら……身を引かなきゃ。デジちゃんには幸せでいてほしいから……。
「機会があればさりげなく聞いておこう。それまでは大きく動かない方がいいかもしれないね」
「わかりました。……すみません、こんな話を聞かせてしまって」
「気にしなくていい。君の感性には興味があるのでね」
「かっ、感性に、ですか……?」
わたしなんかの感性が気になるの? タキオンさん。こう言っちゃあ本当に申し訳ないんだけど……物好き、ってやつなのかな? そんなの気にしたってしょうがないと思うんだけど……。
「何か進展があれば連絡しよう。連絡先を教えてくれないかい?」
「は、はい!」
数少ない連絡先にタキオンさんが加わる。久しぶりかもしれない。そして今日はここまでにしておこう、ということで挨拶をしてその教室から出る。
……わかっていたけど、わたしからは何もできないんだなぁ。もし元気がないならなんとかしたいけど、その原因がわたしだったり……わたしのことが嫌いになっちゃったりしてたら、むしろ何もしないほうがいい。それでもし、本当にわたしのことが嫌いだったなら──。
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