ハーメルン
ウマ娘全てに愛を振り撒くデジたんと、そんなデジたんに自分だけを見て欲しいと考えるウマ娘概念
最近不調気味なデジたんと、それを含めた色々なことについてそれとなく話を聞くタキオン概念
「……」
ここ数日、アグネスデジタルは今のようにして部屋のベッドの上で呆けることが増えてきていた。本当に何もすることなく、ただただ部屋で何も考えずそのままでいるだけである。
デジタル自身、それが良くないことであるし、らしくないということを感じている。以前までの自分ならば、今ごろどこかで色んなウマ娘ちゃんの尊いところを見て昇天しているだろうと。毎日毎日が素晴らしく最高の日で、ウマ娘ちゃんに対する想いがあふれて止まないんだろうと。
確かに今でもデジタルはウマ娘ちゃんのことは大好きではあるし、頻度こそ落ちているがウマ娘ちゃん観察やライブなどに行っている。
だけど、何かが足りない。どこか満たされない。
晴らすことが出来ないモヤモヤ感。原因不明のこの想い。今のデジタルの不調の元凶。
故にどうすることもできず、こうして呆けているのだ。こうしていれば、何も考えなくていいから。何の解決にもなっていないが、悪化することもないから。
「──くん、デジタル君?」
「──ふぇ? は、はいぃぃぃ!? タ、タキオンさん!?」
声が掛けられていたことに気が付き驚きながら覚醒する。
「ようやく気が付いたかい? 先ほどから声をかけていたのだが……」
「す、すみません! タキオンさんを無視してしまうなんて恐れ多いことを……!!!」
「まぁ、比較的すぐに気が付いていたからそこまで気にしなくてもいいさ。……
思っていたより重症だねぇ
」
「?」
少し考え込むような動作を取った後、タキオンは自身のベッドに腰かける。
「さて、デジタル君」
「は、はい」
「聞かせて貰えないかな。最近の君について」
「え? えぇと……おっしゃる意味が……」
「ここのところ、常に絶好調であったはずの君が正反対の絶不調に陥っていると思うんだが、それについてだね」
「ぜ、絶不調だなんてとんでもない! いつも通り絶好調ですはい!」
「ふぅン……?」
デジタルの方を改めて見る。
以前に比べてやつれており、髪もそこまできれいに整えられていない…いや、気にする余裕があまりないのかもしれない。加えて生気もない。誰がどう見ても不調である。
しかもそれを本人は気が付いていない且つ不調を隠せていると思っている。明らかに違うというのは気が付かれているのだが。
無論タキオンもかなり早い段階でデジタルの不調は見抜いていた。しかし、タキオン以上に一緒に居る時間が多いナナシノゴンベエがいるため彼女がなんとかするだろうとして放置していたのだが、一向に改善が見られない且つデジタルがナナを避けているというのを本人から聞いたため、こうして話をすることにしたのだ。
「まぁいいさ。とりあえずその不調、話してみると客観視出来て原因が分かるかもしれないよ?」
「……そう、ですかね?」
これ以上否定しても無駄だと思ったのか、少し弱気な表情になって聞き返すデジタル。
「絶対とは言えないが、ね」
「……わかりました」
そこから、デジタルは語ってゆく。ある時から急にこんな風になってしまったこと。今まで楽しかったことをしても全力で楽しめないこと。明らかに何かが足りてないこと。一つひとつ、ゆっくりと。
相槌を打ちつつ、その不調が具体的にどのあたりからなのか、どういった症状が出ているかなどを聞いていく。その回答を聞いた上で、タキオンは分かり切っていた結論に至った。
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