師弟の再会と鈴の謝罪
鈴のレポートを読んだ真耶は十分な反省と和成への正当な評価から謹慎を解くと告げに部屋へ向かった。
「凰さん、山田です」
ノックと共に声をかけるとドアが開く、鈴は緊張の面持ち。
これを見るだけでも反省が確認できると真耶は少し安堵する。
「凰さん、わかってくれて私は嬉しいです。ですから謹慎は解きます。
後は今後の行動で示して下さいね」
理事長の判断は一週間以内に反省が見られなければ懲罰室に移すこと。
加えて該当国家に不当な扱いを受けた事実の報告と言う物だ。
実際に報告されれば代表候補生の剥奪は免れず、専用機の返還と共に莫大な修理費用が請求される。
そしてそれとは別に各国の法に則って厳罰に処されるだろう。
「はい、ご迷惑おかけしました。
同じ事を二度と繰り返さず、和成にはしっかり謝罪して自分なりに償おうと思います」
鈴は涙目だったが最後まで言い切る、まだ何も始まってすらいないのだ。
早速見舞いに行って声をかけてみよう、謝罪の言葉を。
そう思っていた時に真耶の携帯電話が鳴った。
「はい、山田です。布仏さん、どうしましたか?
えっ? それは本当ですか!? わかりました、すぐ行きます!」
「何かあったんですか? 山田先生」
鈴は真耶の慌てようから何かあったと察して問いかける。
「崎守くんが目を覚ましたそうです!」
それは鈴にとっても吉報だった。
◇◆◇
本音から和成が起きたと聞いて二人は保健室へと飛んで行った。
中に入った真耶は脇目も振らず、和成のベットへ一直線に向かうと朗らかな笑みを浮かべた和成が見える。
「目を覚ましたんですね! 良かった、本当に良かった!」
真耶は感極まって和成を抱き締めながら泣いた、それを困った様に見る和成。
膨れっ面でその様子を見る本音、そして視界に入らず様子を伺う鈴。
「山田先生、ご心配をおかけしました。また先生に師事してもいいですか?」
「勿論です!でも、まずは体力回復を優先して体調を整えましょう。
無理は禁物ですよ?」
和成の訓練を見ていたのは真耶だ、こうして師弟は再び絆を取り戻した。
そこでやっと自分の大胆な行動に気づいた真耶はあたふたとしながら離れる。
そして、和成は声をかけた。
「そこにいるのは誰ですか?」
「私よ、和成」
その声に硬直する和成、遂に鈴との対話が始まる……。
◇◆◇
本音は和成の様子に気づき、そっと手を握ると呟いた。
「大丈夫だよ〜、かずくん。私も一緒に戦うし、もう一人にしないからね〜」
和成は本音の気遣いに素直に甘えることにした、今まで一人で抱え込み過ぎたと痛感したからだ。
「それで鈴さんの用件はなんですか?」
和成がそう言うと鈴は床に座り頭を下げて言った。
「和成、今まで私の身勝手さで暴力を振るったりしてごめんなさい。
許してくれなんて都合のいいことは言わないけど、これからの私を見て欲しいの。
私は行動で示して行くから……、本当にごめんなさい」
流石の和成も絶句した、一応サキモリから話は聞いてる。
それにしても全く別人かと疑う位に変わっていたから。
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