ハーメルン
男性操縦者の理解者達は許さない
ラウラへの干渉

死の恐怖、それは遺伝子強化試験体として生み出されたラウラにとって身近な感情。
なのに一夏と過ごすうち、すっかり忘れていた感情を強く思い出す。

性能を示さなければ不要とされる、だから一流の兵士となった。
しかし、まさかの越境の眼(ヴォーダンオージェ)適合失敗により、いつ処分されてもおかしくない状況へとラウラは追い込まれていく。
そしてドン底から救いあげ、鍛えてくれた千冬とその強さ。
力を得て変わっていく環境が力こそ全てだとラウラに刷り込まれて行った。
ついには千冬を求めてこのIS学園にまで来る始末。

「嫁をいきなり引っ叩いたんだったな……、アリーナでレールカノンすら撃ち込んで戦おうとした」

その時は教師からの放送で止められた、ならばと……。

「鈴とセシリアを挑発して痛めつけていた所に和成と嫁が割って入った」

この時は千冬に止められ、タッグトーナメントで決着をつける事になる。

「あの時組んだのも和成、今思えば奴は私の意志を尊重してくれた。
 ……初めてだったんだな、和成が」

追い込まれそうになった時、フォローしてくれたのに。

「邪魔するなと自分で敵に回した、それでも奴は私を攻撃しなかった」

そして、シャルロットにパイルバンカーを撃ち込まれる。

「あの時も敗北すれば地獄に落ちると力を求めた、しかもVTシステムなんかに」

知らなかったとはいえ愚かだと自嘲する。

「蔑んだ嫁に助けられた時、クロッシングアクセスが起きた」

そこで過ちに気づかされ、一夏に特別な想いを抱いた。

「嫁よ、もう一度助けてくれ。
 和成がいい奴だとは思うが何が悪かったのか理解できないんだ。
 反省しろと言われても和成が勝手に死のうとしたとしか私には思えない」

そう言ったラウラは目を閉じた、これ以上考えたくないと。そして眠りに落ちていった。

◇◆◇

黄昏の空、乾いた大地、見覚えの無い光景の中にラウラはいた。

「どこだ、ここは……」

「荒れ果てた私の世界だ」

素早く声の主に振り向いて戦闘体勢、そして油断無くラウラは詰問した。

「誰だ? 貴様は」

ラウラの前には黒い軍服の少女、その目はラウラを悲しそうに見てはいるが視線を外さない。

「私がわからないと? このシュヴァルツェア・レーゲンを」
「な、に? では、ここは……」
「正確には私の世界に似せた物だ、招き入れた訳では無い。夢に干渉はしたが」

ラウラはそれで納得した、夢の中とはいえレーゲンが対話に訪れたと。

「私を断罪しに来たか、それほど私が間違っていると?」
「都合のいい所しか見ない愚かさは健在か、悲しいな……。
 織斑千冬から織斑一夏に求める先を変えただけで殆ど変わっていない。

 見ろ、この世界を、なによりの証拠だ。サキモリの世界はあれほど美しいというのに」

レーゲンはラウラを断罪しに来た訳では無い、ただ伝えに来たのだ。

「見落とした物、恥ずべき行為、全て見せてやろう。
 私が干渉した以上、見終わるまで逃がしはしない。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析