ハーメルン
白玉楼での出来事
Covert operation

走る。無我夢中で走る
今の私はここから逃げる事しか考えていない。
早く逃げないと、速く走らないとあの亡霊に殺されそうだ
あの誘うような艶のある声はおそらく私を誘惑する為だろう。
どうして私なんかを誘惑するのだろうか。
質問しても誰も答えてくれない、ただし分かることはある。
「待って〜?」
今止まれば確実に冥界行きになってしまう事だ…
私は門を乱暴に開けて間髪を容れずに閉める。
ほぅ…とため息をついたのも束の間だった
亡霊を舐めていたのかもしれない。
彼女は私に憑いて来ている半霊の人魂のように
当たり前に壁を通り抜けて来た…忘れていたが彼女も亡霊。
つまり霊の一種だから壁を通過するくらい簡単だろう
私はボケーっとそれを見ていたが彼女が私を見て笑った。
声も艶があれば笑顔…もとい顔にも艶がある。無論人を陥れる為のな。
「あらあら、私の顔に何か付いているかしら」
ハッとして私は階段を駆け降りた。
かなり長い階段だが、上り坂はキツくて下り坂は楽なのと大体同じだ。
行きは良い良い帰りは怖いってか?
今まさに恐怖体験してますわ馬鹿野郎。
人生で体験したことが無い…訳ではないが。
と言っても妖怪が「う…うらめしや〜」って言って「は?」と私が
言ったらその子はシュンとして何かブツブツと言った
聞き取りにくかったが「どうせわきちには驚かせる才能なんてないんですよ
なんでわきちはこんな妖怪になったんですか本当に神はいるんですかいや
見たことあるし話もしたことあるけどもどうして鍛治は得意だけれど
妖怪だからって人里には入れないしああ本当に妬ましいこの世は本当に
妬ましい…って橋姫の口癖がーーー!?移ってるんですがー!?」
なんか1人でボケて1人でツッコミをしている悲しい奴だった。
DVDのホラー系統を渡してみようかな?
ていうかこれどう考えても恐怖体験じゃない気がする。
んん…今思い返せばあまり怖い体験をしていない気がするなぁ。
兵隊さんと共に戦うやら、神と雑談の他に妖怪とこの世語りとか…
どれも後々考えれば怖いどころかほのぼのするわね〜。
そうそう兵隊さん達は疲れたら戦った後とは思えないほど
楽しそうに会話をしているし、神様は言うほど怖くない…ただし最初は
威厳に溢れていて恐縮したけども
妖怪はもう恐れられていないからか数は少ない…でも居るには居る
暗闇やら自然現象には人間、自然と畏れるものである。

おお、やっと最下段が見えてきた。
よしここらでラストスパートだ!
ただでさえ全力で走って疲れているが、もう少しの辛抱だ
さぁ〜てこことはおさらばだ!

…おかしい
先ほどからずっと走っているのに最下段に到着しない
私は途中にある踊り場に着くと、息を整える。
振り返ってみたがどうやら彼女は追って来ていないらしい。
まぁ来なくていいから、霊の数は事足りているだろう?
私は立ち上がった。そして後ろを向いた。
向かなければよかった、走ればよかった







捕 ま え た


私はいきなり何かに包まれた。
それはとても暖かく、恐怖した
逃げようと必死にもがくが抱きつく腕と体は全く
離れもしない、しかも逆にガッチリと閉めてくるのだ

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