ハーメルン
マチをママにする程度の能力
伝説の男になる程度の能力(改)

木馬ちゃんの新装備についてトルテにメールしたところ、2秒後にメールの受信通知が来た。

差出人の名は、トルテ=コマチネ。
明らかな偽名である。

ファミリーネームは? と何度尋ねても「コマチネ」としか答えないので俺は諦めた。

暗殺者の家系とのことなので、原作に出てくるゾルディック家の関係者である可能性も高いが、変に探って正体を確定させることはしない。

日本の昔話に出てくる、鶴やら雪女やらは正体がバレると消え去ってしまう。
よって、座敷童っぽい容姿の彼女の正体も、なんとなくまだ確定させない方がよい気がしたので放置中なのである。

ちなみに、彼女からのメールの内容は「近くで見てみたい」の一言だけ。

俺は「いつでも好きなときにおいで」と返しておいた。




その数分後、突然トルテがやってきた。

たしかに「好きなときに」とは言ったが、もうちょっと常識的に考えて欲しかった。


織姫と彦星は天の川により分断されており、愛し合っているのに会うことができないらしい。

俺はかわいそうな彼女たちを救うべく天の川の水かさを急速に減少させながら、彼女の話を聞いた。

「わたしのせいじゃないよ。悪いのは他の人」

どうやら外出したいというトルテの主張はにべもなく断られてしまったらしい。

その結果に納得できず暴走したところ、拘束され、気づいたらここにいたそうだ。

「まあ、本当はわざと暴れたんだけどね。トロイの能力を使えたら、自力で抜け出すよりも簡単かなと思って」


トルテいわく、彼女は俺の所有物であるという認識らしい。

そして、俺は彼女のことを彼女の生まれた家で放し飼いにしているだけ。

ようするに、俺が「帰っておいで」といったのにそれを邪魔した結果、他人のポケモンをとったら泥棒理論に抵触したらしい。

人間を所有物と表現するなんて、と思ったが古代ギリシャでは普通のことだし、倫理観がそれと大差ないこの世界でもOKなのだろう。人体収集家とかもいるし。

問題はいつ俺の所有物判定になったか、だ。

トルテが嘘をついていない限り、彼女単体では能動的に俺の家へと転移することはできないことになる。

ということは、彼女とはじめて会った日、彼女は俺の能力により移動してきたのだ。
あの日、俺はチョコロボと一度はぐれてしまっている。

ここで一つの仮説ができあがる。

もしトルテの家族の兄姉の内の誰かが、俺の3歳年下の弟妹であるチョコロボを誘拐していたら?

こう考えるとトルテが移動してきた理由が一応は説明できなくもない。

そして、ここでさらに、トルテがゾルディック家の関係者であると仮定すると、重要な情報が浮かび上がる。

チョコロボの誘拐を企てた人物としてもっとも可能性が高いのはキルア=ゾルディックである。

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