ハーメルン
マチをママにする程度の能力
未来を決める程度の能力

マグダラのマリアと呼ばれる女がいた。

彼女は十字教の救世主が磔にされて罰せられるところを見た人物であり、同時に救世主が復活したことを最初に目撃したともされる人物である。

シスター・マリアと名乗る女は、救世主を暗示する男が死に、そして蘇ったことを知る人物となった。

マグダラのマリアとシスター・マリア、彼女たちは二人ともが救世主の死と復活を遂げたことの証人なのである。



また、マグダラのマリアは、時に罪深い女とされ、娼婦であったとされることもある。

だが、愛の多い女を罪と呼ぶのはいささか強引だろう。


愛の女神であり、多くの男を愛したアフロディーテがそんな言葉を聞いたら、きっと怒るに違いない。




そんな、罪深い女や愛の女神を暗示するような存在である、シスター・マリアは現在本当に罪を犯していた。


密航の手助けをしたのである。






敵がゆったりした服を着てたら 何かを隠してると思うのは常識。


フェイタンという男は、このような意味合いの発言をしたことがある。




だが、誰もが彼のように優れた洞察力を持っているわけではない。

乗船する客をチェックする担当者は油断していた。


シスター・マリアを名乗る女の修道服の中に隠れていた俺を見つけることはできなかったのだ。


どうやら空を飛ぶ飛行船よりは、海上を行く帆船の方がチェックが緩いらしい。


一度、港へ行き、そこで新鮮な海産物を入手し、それから船に乗ったわけだ。



もちろん、この方法も完璧ではない。


声を出して相談をすることができないので、ジェスチャーなどを使うしかない。


シスターはジスチャーで俺に意見を伝える。
たとえば、尻をわずかに動かしたりすることで尻文字を書くようなことをすれば、時間はかかるものの自分の考えを伝えられるということは容易に予想できる。

俺の方は指で彼女の肌に文字を書いたりするわけだが、紙以外に文字を書くというのは想像以上に難しい。


そもそも、服の中はかなり暗い。

たとえば、蛍光塗料を塗って目印をつけるなどして動きを見やすくしたところで、至近距離からその動きを完全に理解することはかなり難しい。


オーラを使って文字を空中に書くという方法もできなくはないが、自分は能力者ですと知らせるようなものなので、少し危険だ。

よって安全だが時間がかかるやり取りをしていたのが裏目に出た。

彼女は、危険を知らせる合図である右足で床を3回叩くというジェスチャーをしようとしたのだろう。

だが、危険を俺に伝える前に、敵の方から襲ってきたのだ。




「トロイ、その女は誰?」

トルテの底冷えするような声が港についたばかりの船に響いた。

シスター・マリアがアフロディーテを暗示するというならば、トルテという女が暗示するのは知恵の女神アテナだろう。
彼女と一緒にいた時は、不思議と頭がキレたり、良いアイデアが思い浮かぶことが多かった。

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