ハーメルン
ゆるふわ芦毛のクソかわウマ娘になってトレーナーを勘違いさせたい
1話:ゆるふわ芦毛のクソかわウマ娘になった

 ――俺の夢は、クソ可愛いウマ娘になって男を勘違いさせてやることだ――


 みんなは『ウマ娘プリティーダービー』って知ってる? すっごい有名なソーシャルゲームでさ、競馬と擬人化を融合させたコンテンツなんだ。

 最初は「また訳のわかんねぇ擬人化モノかよ」って懐疑的だったんだけど、やってみるとこれ滅茶苦茶面白かったんだよ。で、物の見事にどっぷりハマっちゃって、課金したり現実の競馬に賭けたりするまでになったわけ。

 俺の好きなキャラクターについては、「この子が一番好き!」ってな感じで絞ることはできない。強いて言うならゆるふわ芦毛のウマ娘が死ぬほど好みだ。セイウンスカイとか、もうドンピシャ。メジロアルダン……は黒鹿毛だけど刺さるし、メジロマックイーンとか、マジでみんな可愛くてグッズとか買い漁った。

 あんまりにも芦毛好きを拗らせて、ある日の俺はこう思った。

「あ〜あ……ゆるふわ芦毛のクソかわウマ娘になって、冴えない男を勘違いさせてぇや…………」

 オタク特有の意味不明な拗らせた妄言だ。おねむな目を擦り、ベッドの上で辛い現実を嘆きながら放った発言でしかない。SNSとか掲示板を漁れば、こんな妄想を吐露している人間なんてごまんといる。

 ――だから。
 この時の俺は、この妄言が実現するなんて思っちゃいなかったんだ。





 目覚めると、知らない天井が広がっていた。
 酒癖が祟って、友人の家に泊まってしまったのだろうか。肌寒い外気に触れないように、布団の中に潜り込む。手だけ外に出してスマートフォンを探るが、どこにもない。

「……?」

 俺の寝起きはネットサーフィンとウマ娘プリティーダービーから始まるのだ。その朝のルーティーンができないとなると、ちょっと不機嫌になってしまう。ムスッとしながら俺は布団を捲った。

 そこで俺は違和感に気づく。

(……あれ? 白髪が生えてる)

 視界の端にチラついた白い髪。手に取ってみると、サラサラとして肌触りが良い……じゃなくて、しっかりと根付いている。間違いなく俺の髪の毛だ。と言うか、クッソ長い。白髪の量多すぎだろ。え、待って。もしかして髪の毛全部白髪になっちゃった!?

 マジかよ、まだ20代半ばだってのに……あはは、もう俺もオジサンになったか……。

 果てしないショックを受けて、俺はベッドに逆戻りする。はぁ、マジでお布団の温もりだけが癒しってワケ。

 …………。

 布団を被ろうとした際に気づいた。
 あれ、俺の手なんかおかしくなかった? ちっちゃくなかった?

 俺は布団から顔を出しながら、自分の手を睨んだ。……とてもじゃないが、男のものとは思えないほど白かった。透き通るような美肌? って感じ。それに、骨ばってないし、柔らかい。丸みがある。……何か、女の子の手みたい。爪もこじんまりとしてるし。

 ……ちょっと、おかしすぎないか? 一日で白髪が生え揃うわけが無いし、手が小さくなるはずもない。この部屋に来るまでの記憶もぼんやりしてるし、控えめに言ってマジでヤバい。

 脳が異常事態を察すると、眠気がぶっ飛んだ。布団を蹴り飛ばし、ベッドから転げ落ちる。

「いて!」

 自分から発せられる声が女の子のものだし、何より自分が着てるパジャマが女物だし、部屋の向かい側で知らない女の子が寝てるし……ガチで脳がバグりそう。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/6

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析