ハーメルン
ゆるふわ芦毛のクソかわウマ娘になってトレーナーを勘違いさせたい
1話:ゆるふわ芦毛のクソかわウマ娘になった
脳が異常事態を察すると、眠気がぶっ飛んだ。布団を蹴り飛ばし、ベッドから転げ落ちる。
「いて!」
自分から発せられる声が女の子のものだし、何より自分が着てるパジャマが女物だし、部屋の向かい側で知らない女の子が寝てるし……ガチで脳がバグりそう。
しっちゃかめっちゃかになりながら、俺は部屋の中を這いずった。ふと、机の上に置かれていた手鏡が目に入る。
――非常に。今世紀最大級に、とてつもなく嫌な予感がした。
恐る恐るそれを手に取り、己の姿を見る。
「――!?」
そこにいたのは、驚愕に目を見開く美少女
ウ
(
・
)
マ
(
・
)
娘
(
・
)
。彼女――いや……俺は、ボブカットにしたゆるふわ芦毛を蓄え、アメジスト色の瞳をしている。鼻は小さく、桜色の唇はぷるんとしていて――
いや俺可愛すぎか!?
ビックリしている顔が死ぬほど可愛い。え、何これ。俺ってこんなに可愛いの? 可愛いってこんなにエグいんだ。つーか、自分のモノではあるけどウマ耳ってどうなってんの。俺は(多分)ライスシャワー並にでかいウマ耳に触れてみる。
「なるほどね……?」
猫とか兎の耳に感触は似ていた。唯一違うのは、俺の頭から生えてるものだから、くすぐったさを感じること。芦毛の体毛らしきものがもふもふする。おぉ、軟骨もあるのね……。
「やべ〜」
こういう時の俺の適応能力は異常だ。自分の美しさに見惚れていた俺は、気づいた時には手鏡を手に様々な表情を繰り出していた。
怒った顔、笑った顔、真顔、泣き顔。まあ、涙はそんな急に出せないけど……とにかく俺ってば可愛すぎ。
しかもスタイルがイイ!! ……多分。
え、あるよね? このサイズって結構ある方だよね?
「もう、アポロちゃん……何やってるの?」
「!?」
自分の身体を確かめていたところ、部屋の向こうで寝ていた女の子が俺に声をかけてきていた。あなた誰? あと、アポロちゃんって誰のこと?
とにかくヤバい。つーか、この状況がわけわかんねぇ!
「おれ――じゃなくて、私、えと、学校の身支度をしてて! あ、あはは!」
勢いで誤魔化すが、ベッドの上で目を擦っている鹿毛のウマ娘が首を捻った。
「アポロちゃん、今日は土曜日だよ? 授業も何も無いけど」
あぁ……第一声で墓穴を掘っちまった。そもそも、俺が誰なのか、ここはどこなのか、適当にかましたけど学校とか授業って何なのか、全部が全部分からない。
……ここは素直に白状した方がいい気がする。いつか誤魔化しが利かなくなるくらいなら、いっそのこと言ってしまった方が楽だ。
「……その、ごめんなさい。お……私、今までの記憶が無くなっちゃって」
「き、記憶が?」
「……うん」
[9]前
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:2/6
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク