ハーメルン
脇役系主人公は見届ける
第3話 ギルドタウンを知るために——

 路上で倒れていた自分だったものの、後の診断でこれといった異常が見られなかったことから、その日の内に退院することとなった。

 幸いにも大きな怪我をしていなかったことから、ホッと一安心する自分。だが一方として、また別の問題と直面することになる——





 急斜面に築かれたのだろう、段々となった傾斜の地形に適応した街並み。白色が多く見受けられる数々の四角い民家が連なり、急斜面を繋ぎ合わせる灰色の道路が、綺麗を通り越して神秘的なその景色。

 鳥の声が透き通るように響き渡ってくる空間の中、ヴァイオレットカラーの少女ラミア・エンプーサは思わずと声を上げた。

「えぇ!! じゃあカンキさん、お金の持ち合わせが無いんですか!? それじゃあウチ、何のためにアナタを助けたんですか!?」

 心からの本音で驚くラミア。彼女のセリフに、一緒に歩いていたピンク髪の少女がツッコんでいく。

「いやラミア、そこじゃないでしょ! このカンキ君がお金を持っていないことよりも、“カンキ君の記憶が無い”ことに驚くところだよ!」

「ウチにとっては、報酬金が支払えるかどうかがイチバンなんです!! こんなの、助けただけ損じゃないですか!!」

「いやいや人助けに損も得も無いから。ラミアは相変わらず、お金のことしか考えないんだから……」

 手を横に振りながら、呆れ顔で喋るピンク髪の少女。ラミアの様子にはさすがに、一緒に歩いている青年アレウスも苦笑い。

 と、ここでピンク髪の彼女は、こちらへと言葉を投げ掛ける。

「あー、えーっと……アレだね。私、まだカンキ君に自己紹介してなかったよね。——私の名前は、“レイラン・シェフナー”。気軽にレイランって呼んで。……んーで、カンキ君の記憶についてなんだけど」

「よろしく、レイラン。……その、ごめん。変な話をしちゃって」

「いやいや、ヘンな話なんかじゃないよ! 大変じゃんか!」

 心配してくれるレイランへと、ラミアは訝しげな目で反応する。

「そんなタイヘンなことですか?? ウチとしましては、記憶が無いと言い出したコトの方がおかしく思いますけど??」

「だから大変なんじゃん!? 何言ってるのラミア!?」

「レイランさんは、他人の言葉を真に受けすぎです。考えてみてくださいよ。もし仮にカンキさんが本当に記憶喪失だった場合、どうしてカレは悩むまでもなく自分の名前を口にできたんでしょうか?? 都合が良すぎません?? 記憶が無いのでしたら、自分の名前さえも記憶できていないでしょうに」

「じ、自分の名前は、日頃からアウトプットしているでしょうから、それで自然に覚えていたとか……? というか、ラミアこそ考えすぎでしょ! ラミアは、いつも自分が得できるようなことばかり考えてさ。カンキ君が報酬を支払えないって分かってから、急にそんな冷たい態度を取り始めてさ!」

「記憶が無いと言い出した町の部外者を怪しむコトの、一体何がワルいんですか!! 記憶喪失をダシにして町でワルさをし始めたら、結果的にウチが損することになりかねないんですよ!! これは自衛です!! じ・え・い!!」

「ラミアは薄情すぎなんだよ! もっとこう、困っている人々に寄り添う気持ちを——」

 ヒートアップした彼女ら。言い合いに熱中し始めたその時にも、彼女らの間にアレウスが割り込んでいく。

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