親の心子知らず
僕は父さんが好きだ。母さんも好きだ。
父さんは色んな事を教えてくれる。文字と簡単な計算にミッドランドやチューダー、クシャーンの歴史とか。知る程にその異文化に触れてみたいっていう好奇心が募って、「外の世界を見たい!」ってお願いしては、父さんを困らせたりしてる。
母さんはそんな僕を見ながらいつも微笑んでる。父さんと取り合うように食べる母さんのご飯なんて物凄く美味しい。
他人から聞いた話だけど僕は拾われた子らしい。でも大切にしてくれてるのは分かってるから別に構わないと思ってる。
父さんは傭兵を率いる団長っていう仕事をしてるらしくて、僕はその部下の人達に色々な外の世界を聞く機会が多かった。
特に古参兵達の話には惹かれるものが多くて、戦場への興味は僕の中で日に日に強くなっていったのを覚えてる。
だから僕は考えた、どうやったら戦場に連れてって貰えるかって。
そして実行したんだ。カルテマ達が父さんと打ち合わせ(?)をしてる時に「父さんについて行きたい!」って泣き付いた。
もちろん頑なに拒まれたけど、そんな僕を見てかカルテマやモス爺が一緒にお願いしてくれた。
結局は父さんが折れて憧れの戦場を見に行ける事になった。
甘く見てた。
憧れも好奇心も何の役にも立たなくてただただ怖かった。
歯はガチガチ鳴って震えが止まらなくて、ずっと父さんの後ろに隠れてた。なだれ込んで来た敵を怯まず剣で斬り捨てていく父さんは、強くて大きくて頼もしく見えた。
帰り道、父さんに抱き抱えられながら僕は誓った。
僕も強くなって父さんと一緒に母さんを守ろう。って
でも父さんには言えなかった。
父さんは僕が剣の道を選ぶのを嫌がってるらしくて、皆にも教えないように言い聞かせてるんだって。なんでダメなんだろう?
ウルバンやカルテマ、モス爺とか殆どの古参兵は剣に関して何も教えてくれない。
もう一度一緒にお願いして欲しいって頼んだのに断られちゃって取り付く島もない。
でもバーランはこっそりだけど教えてくれるから好き。
みんな「ガンビーノがなぁ…」って言って相手にしてくれないけどバーランだけは「まぁ少しならいいんじゃね?」って!
子供用の剣が無くて皆と同じ剣で練習してるけどまだまだみたい。
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