男の子は戦いが好き、はっきりわかんだね
俺はここ数日、朝霧も晴れない早朝からガッツの剣の練習に付き合っている。
正直言うとほっときたかったんだが、中途半端な剣で戦場に踏み込んだらどうなるか…分かんだろ?そうなるくらいならと思ったんだ。
「軽いし浅いぞ、もっと踏み込めガッツ!」
「ッ!」
ガッツの突き出す剣を流しながら軽く切り払う。
薄皮が裂けて僅かに血が出るが、気にする素振りもなく打ち込んでくる。
「うらあぁーッ」
「がむしゃらに斬り込むな!隙だらけだぞ!」
「うッ!」
ヒラリと躱して足払いを食らわせる。
バランスを崩しながらも受け身を取るガッツ、やはり体術も教えたのは正しかったみたいだ。
だからと言って加減はしない。ガッツが立ち上がる前にその首に剣を突きつけて宣言する。
「首1つだガッツ。てめぇはまだ子供だが子供なりに利点はある、てめぇからは俺の全身を視野に入れられるが俺からは見えなくなる所がある。良いかガッツ、体の差を活かせ。分かったらもう一度だ!立て!!」
「………」
無言のまま立ち上がるガッツ。だが不貞腐れてる訳では無い。
ジッと俺を見据えているその目は何処に隙が生まれるかを見極めようとしている。
いいぞ、それで良いんだガッツ。
「ッおおぉ!!」
集中を邪魔するつもりで大声と共に斬りかかった。大上段からの打ち落とし。
力技でガッツの剣を落とす!
取った!と思ったのもつかの間、ガッツが視界に居なかった。
「…なッ!?」
驚きと殺気に気付いたのは同時だった。
咄嗟に首を逸らした瞬間、首すれすれの場所を下からの剣が貫いた。
危なかった。コンマ1秒でも遅れてたら自分の首が落ちてたところだ。
背筋に冷たいモノを感じる。
確かに手加減はしてた、だからと言ってナメては無いし油断もしてなかった。
偶然か狙ったのか、どっちにせよガッツは助言を活かして見せた。
俺は死にかけたけどな!?
「やるじゃねえか…ガッツ、今のはなかなか良かったぜ。普通は下からの攻撃なんて予想してねぇ物だからな」
肩で息をしてるガッツの頭を撫でてやるとパァッと嬉しそうな顔をする。
俺に褒められるのがそんなに嬉しい事なのか…?
思うにガッツの成長が早いのって、やっぱり運命って物の影響が強いんだろうな。
「今日はこれで終わりだ。戻る前に川で汗流しとけ」
「うん!」
元気に走っていくガッツを見届けて1人、ウルバンの天幕を目指す。
ガッツには常用の傷薬を持たせてるが質がいいとは言えない代物である。
菌が入ったら大変だ。
「おう、ウルバン起きてるか?」
まぁ寝てたら寝てたで叩き起すから良いけどよ。
「…今起きたところだけどなんだ?悪いが朝は苦手なんでね。面倒事なら止めてくれないか」
「傷薬を取りに来た。止血効果があって治りの早いイイやつをな」
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