「ライデンアキラか……良い名だな、シンボリルドルフだ」
「シンボリルドルフ……凄いカッコいい名前ですね!!」
「フフフッ有難う」
「輝、ウマ娘界の皇帝様にその反応はないでしょ」
「えっ皇帝、エンペラー……ああっ!!?」
あの皇帝!?シンボリルドルフ!?と漸く気付いたのかオーバーリアクション気味にひえええっ!!と声を上げて驚く少女にルドルフは思わず笑みを作った、何とも新鮮な反応だからだ。自惚れではなく、自分の名前はそこまでに有名だからである。それなのに指摘されるまで気付かなかったというのは中々に嬉しい気がした。
「すいませんすいませんっ私、そういうのに全然興味なくて……!!偶にテレビに映ってるのを見た事がある程度で……!!」
「気にしていないから顔を上げてくれ」
「ううっ……何か恥ずかしい……」
輝自身、ヒビキに会えるという事でかなり舞い上がっていたのもあったが彼女自身が有名なウマ娘に興味などが引かれないタイプだったのもあったらしい。そう言うタイプにはルドルフ自身も覚えがあるので余り不快には感じていないので気にしていない。
「ライデンアキラちゃんっと呼んだ方がいいかな」
「輝で結構ですよ、皆にそう呼ばれてますので」
「そうか。ではそのように……アキラはヒビキさんに何を届けに来たのだ?」
「フフンッとってもいい物です!!」
胸を張ってそう断言する輝、兎も角それを降ろす為にも用務員室へと案内する事にした。初めて来るトレセンに興味津々と言わんばかりに瞳を輝かせている輝にルドルフは先輩として声をかける。
「中央は興味深いか、アキラは何処から来たんだ?」
「奈良県から来ました。そこで普通の中学に通ってます」
「何っ奈良のトレセンには通っていないのか?」
「ええ、学費もバ鹿になりませんから」
それを聞いて納得した、ウマ娘として活躍する為の養成学校であるトレセンは良くも悪くも学費としてかなりのお金が掛かってしまう。それを考慮して支援制度もかなり充実しているがそれでも家庭の事情で通う事が難しいウマ娘も少なくない。なので高等部からトレセンに入るっというのもよくある話でアキラもその類だろうと納得する。
「良し此処に置いて」
「は~い、よっこらセパレート」
「おやっさんの口調移ってるよ」
ギャグめいた言い回しに思わずルドルフは口元を抑えて込み上げる笑いを抑えた、このようなギャグもあるのかと思いつつも参考にさせて貰おうと内心で思っていた。そして後日、生徒会室で似たような事を言って副会長のやる気が下がった。降ろされた荷物の包みなどが剥がされていき中身が露わになった、そこにあったのは―――太鼓であった。
「これは和太鼓……か」
「そっ俺の趣味って言うのは太鼓なんだよ」
運ばれてきた太鼓は二つ、3尺サイズ1尺は30.303㎝でもう一つは1尺と3寸1寸は3.0303㎝と言った所だろう。小さなものでも一般的に想像される太鼓のサイズだが、3尺の物はそれ以上の存在感を放っている。1尺の方は何処か初々しいというか酷く新しいという印象を受ける。
「ありっこの太鼓は?こっちのは俺のだけど……」
「そっちは私が作った太鼓なんです、記念すべき第一号!!」
「えっマジで?凄いなばっちゃんが認めたんだ」
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