「えっとっこんな感じ、かなぁ……?」
「そうそう上手上手。やっぱりこういうのは女の子の手を借りるのが一番かな」
「そ、そんなに褒めないでよぉ……」
普段通りに仕事をしているヒビキ、要望のあった花壇の仕上げである花を植える作業を行っていたのだがそんな彼を手伝う一つの影があった。男としてもかなりの大柄であるヒビキの隣にいるとその小柄な体が余計に際立っている。少々影があるが、精一杯に笑顔を浮かべようと努力している姿が見えている。臆病で弱気だがとても優しい心を持つなウマ娘、ライスシャワー。
「にしても悪いねライちゃん、手伝って貰っちゃって」
「いっいいのライスがしたくてしてる事だから……邪魔じゃなかったらっもっとお手伝いしたい……」
「有難い位だよ、如何してもこういう花を植えるセンスは女の子の方がいいからね」
パンジーを植えながらもライスの頬は少しだけ赤く染まっていた。素直に自分の事を褒めてくれていたり、話しかけてくれたりしているヒビキに彼女も懐いていた。特に朝食などは姿を見れば隣に座って食事を取ろうと誘ってくれるほどに仲良しだとヒビキは思っている。
「よしっこんなもんか、ライちゃんはこの後どうする?」
「え、えっと……おじさまと一緒にご飯食べたいかな……?」
「ありゃもうお昼の時間随分オーバーしてるな……ごめんねライちゃん、長く付き合わせちゃって」
ライスシャワーはヒビキの事をおじさまと呼ぶ。ヒビキ自身はおじさんで良いというのだが、曰く彼女自身が好きな本の中に出てきて主人公を支える素敵なおじさまにヒビキは似ているらしい。正直輝が呼ぶおじさまとはまた意味合いが変わってくるし気分も悪くないので好きなように呼ばせている。なので自分は素敵な用務員のヒビキおじさまっという事らしい。
「んじゃ俺がご飯作ってあげるよ、丁度ハンバーグのタネを作ってあるからニンジンハンバーグなんて如何だい?」
「うんっライス大好き……!!」
「あとニンジンポタージュがまだ残ってたはず……後はニンジンサラダも作ろうかな。ハンバーグにはチーズと目玉焼きも付けるかい?」
「美味しそう……!!」
キラキラと目を輝かせるライス、彼女は見た目は中学生のように見えるがかなりの健啖家。その身体の何処に入っていくんだという量を平気で食べる、以前も一緒にラーメン屋に行った時はウマ娘用のサイズでの特盛でトッピング全乗せを普通に頼んで平らげていた。
「んじゃ行こうかお姫様」
「ふぇっ!?ラ、ライスはお姫様なんかじゃないよ?」
「女の子は皆お姫様になる権利があるんだよ、このおじさまにお姫様を守る騎士をさせて貰えないかな?」
「え、えとえと……それじゃあ……私を連れて行ってね騎士おじ様」
「畏まりましたライス姫」
そんな寸劇を咄嗟にするのだが、お互いに耐えられなくなったのか思わず吹き出してしまって一緒に笑いながら用務員室へと向けて歩き出した。ライスは早く行こっ♪と手を引っ張る姿は本当に可愛らしかったとヒビキは語る。こんな笑顔を作れるんだから不幸なんて起こる訳がないよっと内心で彼女に向けた言葉を放つ。
「さて出来たぞ~お腹も膨れて足が速くなるご飯だよ~」
「おっ美味しそう……!!」
思わず生唾を飲み込みながらテーブルの上に広げられたニンジンハンバーグにサラダ、ポタージュ、野菜スティックと見事にニンジン尽くし。特大のハンバーグには目玉焼きが二つが乗っかっており、傍にはチーズの入った容器がスタンバイされている。
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