「ヒビキさんお願いしますトレーナーになって下さい!!」
「いやっだからさスペちゃん俺は……」
「違うんです、ダイエットトレーナーになって下さい!!」
「―――はぇ?」
「ああなんだっトレーナーってダイエットの事だったのか」
スピカの部室へとやってきたヒビキ、そこへ突然スペは最早土下座のような超低姿勢で頭を下げて懇願してきた。それが担当トレーナーという事なら断るのだが、まさか内容がダイエット関連だとは思いもしなかった。体重がかなり増えてしまったらしく、その影響か皐月賞では勝負服のホックが止まらない程だったらしくそれが原因で負けてしまったかもしれないとかなり思い詰めているらしい。なので体重を落とす為にも皆で協力する事になった。
「んでまずは鍛錬のスペシャリストであるヒビキさんの応援を頼もうって訳」
「そうそうっ毎日毎日あんなメニュー普通はこなせねぇもんな!!スペシャリストの名こそ相応しいぜ」
「大袈裟だなぁ……まあ確かに女の子にとって体重は大問題だもんね」
「そうそうっ!!やっぱりおじさんは乙女心が分かってるよね、それに比べて……」
と一斉に沖野へと向けられる怪訝な瞳。
「なっなんだよ」
「皆の前でスペが何キロ増えたのか言いやがった上でまた勝手に足触ったんだよ」
「沖君さ……本気で理事長に通報しようか。流石に君の品性を疑うよ俺」
「いやっ悪いとは思ってるよ……」
だがまあ実際ダイエットは必要だろう、体重が増えすぎるのも問題だ。まあダイエットメニューを組んであげる事ぐらいならば良いだろう、乙女にとっては死活問題だろう。
「まあいいよその位なら」
「ほっ本当ですか!!?」
「勿論。後一応言っておくと俺のメニューはやってると体重は増えるから」
「それじゃあダイエットの意味がぁ!!?」
「大丈夫だって増えるのは筋肉だから」
此処で訂正しておくと筋肉というのは脂肪に比べて重い、ヒビキが組むメニューは基本的に身体を大きく動かして脂肪を燃焼して筋肉を作る為の物。なので結果的に体重は増加するのである。
「よしっそれじゃあ早速やるかい?」
「はいっ!!」
という訳で早速ヒビキ監督のダイエットメニューが開始される事になったのであった。と言っても必ず守る事は早朝の自分の鍛錬に参加する事、制限こそつけるが好きな物を食べてもいい。これに驚いたのはダスカ、ダイエットに必要なのはハングリー精神だと思っており協力に当たってまずはスペのニンジン断ちから始めようと思ってたらしい。
「下手に好きな物を禁止しちゃうと何処かで爆発しちゃうからね、時折ガス抜きは必要だよ。ダイエット中に甘い物断ちすると猛烈に食べたくなるし別の物で発散しようとするでしょ、逆にそれで太っちゃうんだ」
「成程……だからあの時は失敗したのね……」
「お前、そんな失敗してたのかよ……」
サラッと失言するダスカにウオッカは呆れたような目を向ける。
「というか基本的にウマ娘達は運動量も基礎代謝も凄いから下手に食事制限をすると栄養失調になる可能性が高い、オグちゃんが減量の為にえらい事になってたからねぇ……」
「ああっあの時か……」
「そうそう、あの時は本当にやばかった……」
思わず遠い目をするヒビキと沖野、一体何が起きたのか聞きたいが余りにも遠い目に聞く事が出来ない。何かを察したのかゴルシは二人の肩を優しく叩いた。
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