第十六頁[暗黒の力、ギガノイド]
荒廃した磐戸市の繁華街、そこで激しくぶつかり合う四つのシルエット。
紫乃とロゼが変身した仮面ライダー、ムラサメとブリューナク。
さらにロッソとヴェールが変異したギガノイド、ボルケイノドラグナーとスパイラルジャグラーの戦いだ。
「キャッハハハハハハ!」
「くうっ!」
暴れ狂う風と共に、ジャグラーは振り上げた大鎌を手足のように操り、じわじわとブリューナクを追い詰めていく。
素速く立ち回って攻撃を避けようにも、向かい風が体の自由を奪っている。
ただし槍を振っていなす程度の事はできるため、刃が直撃するまでには至っていない。
「うぅ~ん、しぶといわねぇこの女! キャハッ!」
「どっちが……!」
愉快げに笑い声を上げるジャグラーに苛立ちを募らせ、反撃としてAウェポンLモードを突き出す。
だが、ジャグラーは風に流されるように、あるいは軽やかに踊るように攻撃を避けている。
そして攻撃が空振りになったのを見計らって、石突を振ってブリューナクの側頭部へと叩き込んだ。
「あぁ!?」
「キャハハハハ!」
よろめいてしまったところで、大振りの一撃が胴を横に薙ぐ。
攻撃を受けた箇所から火花が散って生体装甲に大きな傷ができ、ブリューナクはダメージから槍を取り落としてしまった。
ドラグナーと交戦していたムラサメは、それを見て思わず声を上げる。
「ブリューナク!?」
「余所見はいけないと言ったはずだよムラサメ!」
救援に向かおうとしたところで、竜の持つ無骨な剣が行く手を阻む。
幸いにも彼女はすぐ立ち上がったが、攻撃の手が止まるワケではない。歯噛みしつつ、ムラサメは斬撃を刀で受け止めた。
「邪魔だ、どけ」
「随分と必死だねぇ? そんなにブリューナクが僕のモノになるのが嫌かい?」
「当たり前だ!」
挑発に対して叫声で返し、しかし冷静に力を緩めてバックステップで剣を避けるムラサメ。
思わぬ行動にドラグナーは態勢を崩し、そこへ拳が顔面に叩き込まれた。
「ぐ!?」
「貴様らの行動や態度を見ていれば分かる、どうせロクでもない事をするつもりだろう! そうはさせん!」
ムラサメが再び右拳を握って足を前に踏み出す。それを見たボルケイノドラグナーは、再びパンチが来ると見て剣で防御姿勢を取った。
だが予想に反し、その拳はドライバーのリキッドを軽く叩く。
《サンダー!》
「急々如律令」
《Calling!》
両掌から迸る雷が迫り来る。
隙ありと見てフェイントで放たれた雷撃だが、それでもドラグナーは身を伏せ、回避した。
「ハハハッ! この程度なら……」
嘲った直後に、笑い声がピタリと止まる。
自分が立っていた場所、その背後では、ブリューナクとスパイラルジャグラーが戦っていたのだ。
そうなれば必然的に、雷撃は――。
「キャアアアアアアッ!?」
けたたましい悲鳴。ムラサメの放った雷は、最初からジャグラーを狙っていたのである。
「今!」
それを好機と見るや、ブリューナクは長槍を一気に目の前の相手の腹部に押し込み、手痛い一撃を見舞った。
[9]前書き [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/8
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク