ハーメルン
仮面ライダームラサメ
第十九頁[白と黒の交叉]

 ブリューナクとユーダリル、そしてロッソとヴェールが交戦している頃。
 下階の廊下にて、アダンとカリオストロが走りながら自分に向かって来る戯我に応戦していた。

「だァッ、クソが!! ゾロゾロと目障りなんだよ!!」

 現れる敵は全員、二人に向かって攻撃して来る。
 アダンが素手で殴り倒しているが、下級だけでなく中級の戯我も混ざっており、数が多いのもあって一筋縄では行かない。

「なぜこんなにも戯我が!?」
「っつーか、こいつら会場にいたヤツらじゃねぇか! なんだってんだ一体!」

 悪態をついていると、カリオストロが前に出て腰に帯びた剣を手に取った。

「仕方がありませんねぇ。この剣を抜きましょう」

 そう言ったカリオストロの剣から黄色い靄のようなものが発せられ、鞘走らせた刹那、彼の姿も人ならざるものに変貌する。
 しかし、それもほんの一瞬の出来事。再び鍔鳴りが響いた時には、元の人間の姿に戻っていた。
 カリオストロが放った一閃により、その場にいた戯我たちの首や胴が落ちていく。
 だが。

「あ」

 その中に紛れていた者の中に、大量の手榴弾とダイナマイトを抱えている人間が数名いた。
 安全ピンは既に抜かれ、地面に落ちている。

「やっ……べ!?」

 驚き、アダンはその人間たちに向かって走り出す。
 自分の身を心配しての事ではない。この近くには倉庫があり、しかも艦底にも近い。
 もしも爆発で穴が開いてしまったら。そうなる前に、なんとかしなければならないのだ。

「あ、が!?」

 しかしその願いは無情にも、頭上から突如として降り注いだ矢が首に突き刺さった事で、砕け散ってしまう。
 アダンもカリオストロも、身動きが取れない。

「ぐおおおおおおっ!?」

 直後、廊下で爆発が起こる――。

※ ※ ※ ※ ※

「そぉら!!」
「フッ!」

 オークション会場で始まった、紫乃が変身するムラサメとクリスが変身するクラレントの対決。
 Aウェポン2Cから振り抜かれる猛撃を、ムラサメは捌き続ける。
 直撃は避けているが、しかし彼自身はその守勢が長くは保たないと感じていた。
 クラレントの一撃はそれ程に重く、そして速いのだ。

「く、この太刀筋……!?」
「中々やるな! だが避けるだけじゃアタシにゃ勝てねぇぞ!」

 大きく剣を振り上げた瞬間、それを狙ってムラサメが一歩前に踏み込み、切っ先を突き出す。
 その突きは咄嗟に後退した彼女の左肩に命中するが、かなり浅い。
 さらにムラサメ自身も、攻撃寸前のクレイモアの間合いに入ったために側頭部の装甲に僅かな傷を作ってしまった。

「技量は五分ってところか?」

 愉快げなクラレントの声。しかしムラサメは、今の攻防で仮面の中の眉根を寄せていた。
 彼女の剣術や戦法。荒々しいがどこか自分と似ていて、何故だか刃を交えた事がある気がするのだ。
 それがどこでいつの話なのかは、彼自身にも思い出せない。女性でこれ程の剣の使い手は、記憶にない。

「クラレント、お前は一体何者だ……!?」
「どうでも良いだろそんな話。もっと来いよ、アタシと戦え! そしてリキッドを寄越しな!」

[9]前書き [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/7

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析