ハーメルン
生徒会長が栞子なのは間違っている?
第十一幕「不慮の事故」

「という訳で俺は栞子にキスされたんだが、どうしたら良いんだろう」
「惚気るなら帰っていいですか?」
「真剣なんだせつ菜々さん」
「混ぜないで下さい。今は菜々の方です」

 栞子との一件の後日。俺は菜々の方と学校で話していた。栞子は説得をした。今度栞子の家に行く約束をして。めっちゃ粘られたけど、眼のハイライト無かったけど。八重歯で首噛まれたけど。なんとか説得した。

「大体そろそろおかしな話になってますよお姉さんと重ねてるとか口では言っても、口を開けば栞子さんの話題だし、栞子さんにき、キス……されて満更でもない破廉恥野郎」
「待って、なんで急に罵倒したの?」
「罵倒もしたくなりますよ。結局のところ貴方はなんやかんや言って、栞子さんと付き合うのが怖いだけじゃないですか。お姉さんみたいに失いたくないから」
「……貴様言ってはならん事を」
「目つき悪くしても無駄ですよ。なんなら栞子さんのおかげで貴方が怖い人説は破綻しだしてますから。というか、貴方が反論した時点で事実だと言ってるようなものです」

 菜々にそう言われて、俺は口籠る。どこまで見えてんのか分からないけど、多分隠し事は無意味だと俺は察した。

「……それを事実だと言ったら、俺は栞子とは付き合いにくいんだが」
「いや、相思相愛なら付き合ってもいいじゃないですか?」
「そんな簡単に言うな。誰かを失ったこともねぇのに」
「……それに関しては配慮がありませんでした。すみません。でも、これだけはいえますよ」
「なんだよ」
「今と昔の貴方は違うでしょう?」
「……は?」
「昔の貴方は自分が何も出来ずにお姉さんを失った、ですが、今の貴方は栞子さんを守ることは出来るでしょう?」
「守る?」
「貴方のその身体、まぁ、自己犠牲はお勧めしませんが、昔よりも知恵や力を努力で手に入れた貴方なら、栞子さんに何が起こっても、守り抜けば良いじゃないですか。失いたくないなら」
「そんなアニメみたいな事できる訳……」
「出来ます。現に貴方は栞子さんの考えを改めさせて、1人の女性の闇を打ち払ったのですから」
「……」

 せつ菜の言う事に心当たりはある。栞子とスクールアイドルの件。俺の些細な一言が彼女を変えたと皆が言うなら、少しばかり自分を信じてみても……

「なぁ、せつ菜さん」
「菜々です。なんですか?」
「……俺は、栞子の助けになれてんのかな、栞子を救えてんのかなぁ……」
「無論です。じゃないと、今の栞子さんはいません」
「断言するね」
「栞子さんがなんて言うかは分かりませんが、私は……少なくとも同好会全員が栞子さんを救ってくれたのは門城蝶さんだと、答えるでしょうね」

 菜々のその言葉に、少しばかりでも、心の足枷が取れた気がした。

「菜々、お前の後ろに炎が見える理由分かった気がするわ」
「はい?」
「厨二病だけど、なんかお前凄いわ」
「バカにしてるんですか? 私は厨二病ではありません」
「ありがとう。菜々、後で栞子を説得して死なないようにしてやるよ」
「どうしてそんな恐ろしい事を言うんですか?」
「じゃあな!」
「え、ちょっと!? ……嵐のような人ですね。でも、貴方が栞子さんだけじゃなく、私も救ってくれた。そんな貴方が……いえ、この話はやめておきましょうか」

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