第三幕「コンセント栞子」
「どうしましょう……お昼休みに練習しようかなぁ?」
「おう、栞子。どうした元気ねぇな」
「あ、蝶さん!」
「生徒会長が廊下走るな抱きつくな匂い嗅ぐなそしてサラッとズボンのチャック下げるな!?」
俺が昼休み前の授業のため廊下を歩いていると栞子が少し落ち込んでいたので話しかけた。
というか生徒会長ですよね? 三船家の人間ですよね? 何で名も持たない俺の元に抱きついて匂い嗅いで来んの? というか栞子ってもしかして結構胸ある? なんか膨らみが当たるんだけど。
「80は無いですけど胸で貴方の物を扱くぐらいは出来ますよ?」
「生徒会長が学園の廊下のど真ん中でなんて事言ってんだ」
「揉みます?」
「やめれ」
「せつ菜さんの方が大きいですもんね」
「ねぇ、何も言ってないのに眼のハイライト無くすのやめねぇ?」
「最近せつ菜さんと仲が良いですけど何してるんですか?」
「声のトーン戻してくれねぇ? 生徒会の仕事を聞いてんだよ。あの人も生徒会の人間だったからよ、仕事の事聞いてたんだ」
「私に聞けば良いじゃ無いですか!」
「……お前の負担を減らしてぇからよ。だからお前には頼れなかったんだ」
「蝶さんキスしましょう」
「結論がおかしいねぇ」
ちょい恥ずかしかったが、栞子は喜んでというか機嫌は治ったようだ。おい俺の手の甲にキスすんな。
「……それで、何で落ち込んでたんだ?」
「ああ、その事ですか。実は、占いはあまり信じないのですが、テレビでAB型が最下位だったんです」
「成る程な」
俺も占いは信じていないけど、確かに栞子の言う通り、自分の星座や血液型が最下位ですなんて言われたら凹むわな。
「あれ、ラッキーアイテムとか無いのか? そういうの持ってたら良いんじゃねぇの?」
「ピアノですけど」
「……音楽室とかは? ピアノでなんか弾けば良いだろ?」
「ショパンの曲が弾ければ大丈夫って」
「どんな占いやねん」
流石に栞子じゃ無理だわな。なんて思ってしまった。いや、基本誰もが無理だわ。でも、こいつの悲しそうな顔見るよりかはマシだから久しぶりにやるか。
「……よし、行くか」
「どこへ?」
「お前のラッキーアイテムをくれてやるよ」
「は?」
そう言って俺は栞子の手を引き、音楽室へ行った。
☆
「♪♪♪」
「……何で弾けるんですか。しかも子犬のワルツをミス無しで」
「まぁ、アイツから習っただけだ。それに、栞子が弾けとは書いてなかったのなら俺が弾いたのを聞いても良いだろ?」
「それはそうですけど……もしかしてピアノって同好会の部長ですか?」
「いや、俺の姉だ」
「……お姉さん、ピアノ弾けたんですか?」
「アイツは何でも出来たんだよ。俺を引き取った時から、よくピアノをやらせてもらった」
「……やっぱり辛いですか?」
「まぁ、辛くねぇって言ったら嘘にはなるがよ」
そう言った後俺は栞子の頭に手を置いて頭を撫でながら言う。
「お前が、そばにいてくれんだろ? 前に言った通り」
「ええ、私は貴方のそばにいますよ。因みに今音楽室の鍵は閉めてます」
「それ以上はいけない」
「私の嬌声という名の歌を聞きますか?」
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