ハーメルン
生徒会長が栞子なのは間違っている?
第五幕「栞子との出会い」

「スゥー、ハァー、蝶さんの上着いい匂いがします。やっぱり愛している人の服の匂いは安心と興奮と快楽をもたらしますね。蝶さん好き好き好き好き好き好き……」
「……見なかったことにしよう」

 おかしい。夢でも見てんのか。俺がいつものように生徒会室に入ろうとしたら俺の上着の匂い嗅いで発情してた(栞子)がそこにいた。

「蝶さん、見たのなら早く入って慰めてください」
「なんでバレてんだ。というか嫌です」
「なんでですか!?」
「おかしいだろ。生徒会室だぞ、そもそも学校だぞ」

 そうだ。そもそもが間違えてるんだ。ある日学校へ行っていつものように勉強して、昨日上着忘れたのを思い出しながら生徒会の仕事あって良かったと思い生徒会室に向かっただけなのに。
生徒の模範であるべき生徒会長である三船栞子がただの1人の男の上着の匂い嗅いであわよくば股間に手を当てかけていたなんて、非日常にもほどがあるんだ。

「私達付き合ってるじゃないですか!」
「捏造報道だね」
「事実です! 全校生徒は私達をなんと呼んでいるかご存知ですか?」
「告白した覚えもされた覚えもないけど一応聞きましょうか?」
「虹ヶ咲の美女と野獣夫婦です!」
「それ言った奴出てこい、ぶん殴ってやる」

 いや、間違いではない。確かに栞子はスクールアイドルが出来るほどの可愛い女の子だ。強面の俺には勿体無いのも事実。だけどだ、なんで栞子が評価されるのはいいけど俺まで評価されなきゃならんのだ。しかも辛口通り越してデスソースじゃねーか。

「……そんなにブサイクなのか。俺は」
「いえ、そっちの野獣ではないですよ。どちらかといえば蝶さんは彼女贔屓でなくてもカッコいいと思います。ただ……」
「顔が怖いと?」
「ビンゴです」
「刺すぞテメェ」
「まぁ、身長2mで顔が怖くて筋肉質な身体なら怖がられますよね。私も最初はビビりましたし」
「……怯えてたよな確かに」

 栞子と最初に会った時を思い出す。確か、アレは……

 ☆

「なんか……あっという間に二年の後期を迎えたな」

 姉が死んで、家族を亡くした俺は残った遺産や、バイト代、そして特待生でなんとか食い繋ぎ、生きてきた。空き時間は時間とお金を無駄にしないように筋トレや勉強に取り組んだせいで何故か2mの身長を手にした。

「……おい、目を合わせるな死ぬぞ」
「あの人ヤクザの息子なのかな?」

 なんかヤバい声が聞こえるけど、俺は誰かに手を出したことなど一度もない。凛々しい眉毛は生まれつきだし、身長と筋肉は筋トレの賜物だ。髪は高校デビューとしてメンズ雑誌の真似をしてみたら大失敗に終わった。ただそれだけである。

「流石虹ヶ咲の番長だな」
「燃やしてやろうか」

 おっと、一瞬声に出てしまった。まぁ、姉を失い自分の殻に逃げ込んだせいもあり、俺に話しかけてきたり、俺が話す事は0だったのも原因か。
 というか俺はいつ知らない間に番長になったのだろう。そんな覚えは毛頭ない。そんな事を考えていると腹部に少しの衝撃とキャッ、なんていう女の子の小さな悲鳴が聞こえてきた。

「……あ?」
「いった……ちょっと、よそ見をするのはやめて下さ……ひっ!?」

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