ハーメルン
アルビノ美少女にTS転生したと思ったらお薬漬け改造人間状態にされた上にシティーハンターの世界なんですけど?
第3話「泣いた悪魔の巻!」

適当な理由をつけて香を置いて家を出てきた獠は、
愛車である赤のクーパーミニを適当に都心から離れるように走らせつつ思考にふけっていた。
ホワイトデビル。
数年前から名が一気に売れた凄腕の暗殺者だ。
人種・性別・特徴一切が不明にもかかわらず、
その名前と驚異的な戦闘能力だけが凄まじい勢いで広まった。
知られているのはその暗殺方法だけ。
奴は銃を使った暗殺をしない。
直接首を切りつけられた者、心臓を一突きにされた者、毒針をいつの間にか打ち込まれた者、殺し方は様々だが銃を使ったという話だけは聞いたことがない。
なにか事情があるのか、拘りかはわからないが。
名の売れる勢いや活動基盤が不透明すぎる部分から、
どこか大きな組織の子飼いであろうと予測は立てていたものの、まさかユニオン・テオーペの傘下だったとは。

(藪をつついて蛇が出たな。面倒なことになりそうだ。)

獠の直接の知り合いは誰も戦っていないものの、裏世界では名の知れたスイーパーの数名はホワイトデビルに殺されたとみられているし、
数人のスイーパーが護衛にあたっていた要人を誰にも気づかれず暗殺してみせた実績もある生粋の暗殺者。
そんなのに狙われているとなるとゾッとする話だが、今のところ自分の周囲にそれらしい姿はない。
マンションを出るときに家の周囲も観察したが、特に気になるところはなかった。
ホワイトデビルの特徴からして狙撃の警戒は必要ないだろうから、
侵入の下準備なりこちらを観察している本人か子飼いの配下なりがマンション付近にいるかと思ったがその様子もない。
わざわざ場所と時間を指定してきている意図も読めない。
愛車のハンドルに置いた右手の人差し指で、トントンとリズムを取りながらホワイトデビルの狙いを考えてみるも、
わざわざ自分を呼び出して戦う理由はやはり判然としなかった。

(依頼文にユニオン・テオーペの名前ではなく、ホワイトデビルの名前を出しているということは、
恐らく用があるのは俺だけで香は関係ないはずだ。最強という自負か、それとも……)

香にも伝わるユニオン・テオーペではなく、裏世界の情報を持っていないと知りえないホワイトデビルの名前で依頼を出してきたということは、
香と獠ではなく獠のみを指名しているはず。
そう考えて今もあえて一人で都心から離れることで何か動きがないか探っているのだが、全く兆しが見えない。
恐らくだが監視すらついていないと思われた。

(わからん。なにか奴自体の事情が絡んでいるとしか思えん。誘いに乗ってみるしかないか。)

この誘いをふいにしてしまうと、次はどんな手で来るか読むことができない。
獠をもってしてそう思ってしまうほど、ホワイトデビルの正体は謎に包まれているし、それゆえ行動原理も不明だった。
それに、なにより。

(これは俺に対する挑戦でもある。)

挑まれた勝負から逃げる訳にはいかない。





4号埋立地深夜0時。
人気の果てたそこに、暗闇の中に一人立つ少女の姿があった。
ホワイトデビルである。
出で立ちは変わらず全身真っ白だが、夜のためかサングラスはかけていない。
茫洋とした瞳は焦点が定まっておらず、虚空を見つめている。
そんな静かな空間に車のエンジン音が響き、ヘッドライトが彼女を後ろから照らした。

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