ハーメルン
少女の万華鏡は純金を生む ~隠された世界の真実に気づいた青年は、少女に殺しを誓う~
1-3. 小麦色のJKデータ
「なんかいい事あった?」
近所のファストフードにやってきた陽菜は、黒髪をかきあげながら開口一番まぶしい笑顔で言った。
「いい事……なのか良く分からないけど、すごい事見つけちゃった」
達也は苦笑いしながらコーラをストローで吸った。
「ふぅん……、何なの?」
「まぁ長くなるんで……。なんか買ってこよう。ジュースとかでいい?」
「ここではいつもチョコサンデーよ!」
陽菜はジト目で見る。
「そ、そうだったな。ちょっと待ってて」
◇
達也は発見した内容とその結論を陽菜に丁寧に伝えた。
陽菜はつまらなそうな顔をして、
「じゃあこれもデータだっていうの?」
そう言いながらチョコクリームをすくってじっと眺める。
「そうなるね。全部データだよ」
「達兄ぃもデータ?」
陽菜はいたずらっ子の顔をして達也の顔をのぞき込む。
「……。そう……なんじゃないかな?」
達也は少しムッとしてコーラを吸った。
「ふふっ、データ、データ」
そう言いながら陽菜は達也の頬をつついた。
「おい、ちょっとやめろって」
陽菜の手を払いのける達也。
「ふふふっ、じゃぁJKのデータも見せちゃおうかな~?」
そう言って陽菜はワンピースの肩の所をはだけさせる。健康的な小麦色に焼けた肩には白い水着の跡がくっきりと残っていた。
「わわわ、そういうのは見せなくていいから」
真っ赤になる達也。優美な曲線を描く白い肌はしっとりとして張りがあり、女性経験の乏しい達也にはまぶしすぎた。
「あら、小さい頃は一緒にお風呂にも入ったじゃない」
ニヤニヤしながら陽菜は言う。
「分かったからしまって」
達也はコーラを飲みながらキョロキョロと周りを見回す。
水着跡の下の方の優美に盛り上がった膨らみには、ツルペタの幼児体形の面影など
微塵
(
みじん
)
も残っていなかった。
「友達の
紫杏
(
しあん
)
ちゃんとこないだプールに行ってきたのよ。いい色に焼けたでしょ?」
うれしそうにチョコクリームをパクッと食べる陽菜。
「楽しそうで何より」
「紫杏ちゃんすごいのよ、水の上をタッタッタと走るのよ」
「ふーん、それはすごい」
達也はコーラのフタを取って、小さな氷を口に含むとシャリシャリと噛んだ。
「あ、信じてないわね? 彼女、なんかスペシャルなのよ。テストの点数も全部八十八点とかだし」
「全部?」
「そう、数学も物理も現国も日本史も全部八十八点。期末も中間もずっと。八十八は縁起がいいんだって」
達也はその変なお友達の話をどうとらえたらいいか困惑した。全部八十八点を取るなんて全部満点を取るよりはるかに難しい。多分盛ってるだけだとは思うが、不思議な話である。
「ホントよ? 私、全部答案見せてもらったんだから!」
「し、信じるよ。凄い娘だね」
陽菜の鋭い視線に気圧される達也。
「そうなのよ。今度紹介するわ。でも……」
そう言って陽菜はうつむいて口ごもった。
「どうしたの?」
「彼女、急に留学に行っちゃって……」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/2
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク