Take011
『 このエンターテイメントは、 ステレオHi-Fiで録音されております。 大音量でお楽しみください』
『じゃんじゃん じゃんじゃん だかだかだかだか じゃんじゃん』
『ぱんぱかぱーん ぱぱぱぱぱぱ ぱんぱかぱぱぱぱぱぱぱぱぱ ぱんぱかぱーん』
『てれれれーん てっててー てれれれーん てっててー てれれー てれれれーんッ』
『ロサンゼルスから、アイツがやって来た』
『弾けろ筋肉 飛び散れ汗』
『これがザ・肉体派女優アンジェリーナの真髄だ』
『車に轢かれても、飛行機から落ちても、ビクともしねぇ。ロスの女優はタフネス設計、なお当社比』
『アンジェリーナちゃんは約束します』
『一つ、超現場主義の徹底』
『二つ、テロリストの撲滅』
『愛する私を救うため、一人、敵のアジトに殴り込み』
『その強さは、もう、どうにも止まらない。全員まとめて、かかってこんかい』
『力こぶれ。肉密度1000%』
『プレデターvsコマンドーvsダークライ ロサンゼルスSOS』
『尚翻訳はご覧の通り内容には一切関係がありません』
『木曜洋画劇場は、このあとすぐ』
「こんな感じで良いですか? もっとふざけて欲しいならふざけますけど……?」
『いえいえ! 某ファンファーレも、配給会社が違うから出る筈がないのに口で最後まで言ってるところとか、タイトルも全然違いますし、話されている内容と映像が一切関係ないのも役柄がそのまま出てて今回も、もう最高です!』
「ありがとうございまーす」
『ではこれに見合う物に更に修正しますので折り返しご連絡いたしますね?』
「はい、宜しくお願いします。失礼します」
電話の先で相手が受話器を置くのを聞き届け、こちらもそっと受話器を置く。ベッドの前に広げられたパソコン、そこで開かれた窓を閉じそのまま仰向けでベッドに倒れ込んだ。
「ちかれた」
日本で続編の地上波放送が行われるらしい。初放送を今回ももぎ取った木曜洋画劇場のテレビ会社、テレビTKから製作会社経由で予告のボイスオファーが来た。内容は私なりに全力、真面目にふざけて欲しいというもので依頼通り予告の音声はそれなりにふざけさせてもらったわけだ。
流石に地上波で流す故に下ネタを言うわけにはいかず、有名なネタをパクらせて引用させて頂いた。
実はこの会社、処女作の放映の予告からとそこそこ縁が長く、私が交流のある唯一の日本のテレビ会社だ。インタビュー、バラエティの出演は一切無いがネット経由で私が出演した映画の地上波放送予告、劇場版吹き替えとは違う放映オリジナルのアフレコを行っている。
他の会社からも依頼は来るのだがまぁこっちに挨拶に来い、撮影したいから現地に来い、日本のスタジオで録音するから、冒頭にインタビューを入れさせろ、バラエティーに出ろ等割と面倒なのである。使ってやるという認識なのかと勘ぐってしまうが、じゃあやらないわと答えられる環境に私は居る。日本の俳優のように形振り構わず出てるわけではない。
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