最後の王冠、菊の激戦
2006年10月1日、パリロンシャン競馬場
実況「なんと驚き、今年の凱旋門賞、その頂に立ったのは極東から来たサムライ。まさにその名を示すかのごとく強力な一撃で衝撃を与えました、ディープインパクト」
10月1日、その日歴史が壊れた。史実なら、禁止薬物利用により失格となったディープ・インパクトであったが、この世界線では来年の凱旋門出走を目指すアマデウスのために神宮寺が相当数の人員(獣医や厩務員は当たり前として、ターフの状況解析の為の植物学者や、レース場の精密なミニチュア作りのために測量技師や、ツアー計画策定のための神宮寺観光の社員を10人単位、それらの世話人も用意)を同行させ、そのためにジャンボジェットと貨物機をチャーターするなど万全の体制で臨んでいた。そして派遣獣医と厩務員が禁止薬物の使用を制止し、失格を免れた。そして史実よりスキルの習得や宝塚の激戦によりレベルアップしたディープインパクトは並み居る強豪を最後方から追い込み、威圧によるデバフで叩き潰し8馬身差を着けゴール。ついに日本競馬の悲願凱旋門賞を勝ったのであった。
神宮寺兼人「ディープが勝ったか」
秘書「はい」
兼人「データは取れたか?」
技術者「はい、芝の状況やコースの形など全て取れました。これでミニチュアの作成を行い来年の凱旋門でアマデウスに勝利をもたらすでしょう」
兼人「ならばよい。さて、後は菊だな」
秘書「はい」
水無樹「不安ですか?会長」
兼人「まあな」
水無月「彼ならやってくれます。先のジャパンダートダービーではアマデウスがダートでも戦えると証明したではありませんか」
兼人「まあな」
水無月「ならば、信じるだけです」
兼人「そうするとしよう」
そして迎えた、菊花賞当日
ついに、この日が来たか。歴史を破壊しすぎたが仕方あるまい。にしてもディープのやつが凱旋門賞を取るとは、このアマデウス、見切れなんだ。さて、守谷さんが来たな。
守谷「アマデウス、ブリーフィング始めるぞ。今回気をつける相手はズバリ、メイショウサムソンだ。偵察の結果相当仕上げてきている。で、コースだが1周半強走ることになる」
1周半強か、やれないことはないな。ぶっ千切ってやる。
大江「アマデウス」
なんだい、大江君。
大江「ありがとな、俺をここに連れてきてくれて」
なんだよな、改まって。
大江「俺は出来損ないだ、アマデウス。お前がいなけりゃ、無敗の牝馬三冠ジョッキーになんてなれなかった」
そうか、カワカミプリンセスは勝ったんだな。
大江「それに無敗の牡馬三冠なんて考えたこともなかった。アマデウス、ありがと。それと、今日も勝つぞ」
当たり前だろ、大江君。ディープの奴は凱旋門賞で勝ったんだ。ライバルの俺がこんなとこで負けるわけにはいかない。勝つぞ大江君。
実況「晴れ渡る青空の下、秋も深まり木々は赤く色づいております今日このごろ。ここ京都競馬場には、入り切らぬ群衆が無敗の三冠馬の誕生を待っています。菊花賞、まもなく出走の時間となります。現在1番人気はやはりこの馬、無敗変則三冠馬にして、宝塚記念にてあの凱旋門賞馬ディープインパクトを撃ち破った、無敗の音楽家アマデウス。対する2番人気はこの馬、先年の朝日杯、今年の皐月賞、ダービーと3度G1レースで激突し3度とも2着に破れました。誰が呼んだがシルバーコレクター、今日こそその汚名挽回となるか。3番人気はこの馬、朝日杯での借りをやっと返せる、神戸新聞杯で見せたその走りそれははまさに蜂の一撃の如し、スーパーホーネット。まもなく出走です」
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