バーゼル沖海戦
メンバーが荒れ過ぎて、アレ過ぎて、不安を抱え船内をうろうろしていると、突然野太い声に呼び止められた。
「そこのガキ臭い黒髪黒目!、暇してそうじゃないかぁ。ちょっと俺たちを助ける気は無いか?」
「い、いえ…お断「何か行ったか?」…いえ!働かせてもらいます!」
「ならいいんだ。そらっ、早く付いて来い!!」
そうしてついた先は弾薬庫、ここの荷物を全て移せと言われたが、これは始まりに過ぎなかった…
「おい!そこのガキくさい新入りッ!さっさと運んで来い!!」
「す、すみません!」
(こいつら本当に軍人か?海賊の間違いじゃないのか?)
思い描いていた船乗りとは、余りにもかけ離れた現実に、目を疑う青年。だか、海z…海兵達は次々に彼に仕事を押し付けていく。
「洗濯ヨロシクなぁ〜」
(それくらいやってくれよぉ〜。…臭っ!)
「見張っといてくれ、俺はトイレ行ってくる。」
(お前はそれで良いのか。)
「おい!砲の掃除をしろ!!」
(は?やり方なんて知らないんだか?)
「おい!水!」
(俺はテメェの奥さんか?」
そうして押し付けられていく依頼を、何とかこなし、ふと独り言を漏らす。
「………俺、召使いのために来たわけじゃないんだけどなぁ…」
「何だ?お前、文句でもあんのか?」
「!、いえ!なんでもありません!」
「ならいいんだ。」
去っていくのを確認すると、どっと椅子に座り込み、食堂のコックさんから貰った水を飲む。
「朝から、めっちゃ疲れた……。水飲んで思い出したけど、お腹減ったなぁ〜」
空きっ腹を抱えながら、どうして食糧にありつこうか考える青年。するとそこへ。
「もし、そこの若いの、腹が減ってるだろ?、ほらくれてやるよ。」
ほら、の掛け声で青年にパンとりんごを放り投げたのは、60〜70代ごろのお爺さんだった。
「どうして?、これを?」
「んなもん、可哀想だったに決まっとるがな。わしがまだ小さい頃はな?ろくな飯も食えずに飢えて死んじまう子供がかなりいたんじゃ、それを思い出すんじゃ。歳をとってからと言うと言うもの、腹をすかした人を見ると、どうしても食糧をあげたくなるんじゃわ。言ってしまえばただの世話焼き老人じゃな。」
「そうだったんですか。食べ物、ありがとうございます。ドチャクソ腹減ってたんで。…所でお爺さんは「ロクベじゃ。」…、んじゃ失礼して、ロクベさんはどうしてこんな所に?、どう見ても現役で働ける年齢ではなくないですか?」
「確かに、普通ならもうとっくに退役させられてるんじゃがな?、この艦が最後の任務に行くと聞いて、飛び出てきたんじゃ。海軍に直談判して何とか載せてもらったんじゃよ。」
「なるへそ。でも、そんなんで乗せてもらえるものなんですかねぇ?」
「ワハハッ!、そりゃごもっともだ。こいつに乗せてもらえたのはな?この艦をあれこれ出来るのは、もうこのワシしか残っておらんからじゃよ。海軍も、こんな型落ち品のマニュアルを残して置いたり、人材育成なんてする訳がないからな。お偉いさんはな?、今回の戦いで、海軍の問題児たる海藻屑と、この老いぼれと、時代遅れの艦諸共使い潰すつもりなんよ?、ゴミを一掃できて万々歳、ついでにウナサカノハミに痛手を与えてくれれば儲け物ってわけさぁ!、ガハハハハハッ!。」
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