私有地に出て来た妖怪討伐したら変な人が家に来た
2016年8月■□日。三重県○△市◾︎※山の山頂にて『窓』が特級相当の呪霊を確認。任務として五条特級呪術師に要請。
到着予定時刻よりも三十分程早く、莫大な呪力反応を山頂より確認。
五条特級呪術師が現場に到着した時には戦闘は終了しており、溶解し硝子と化している地面とそれを両断する様に地面に深々と付けられた斬撃痕のみが確認された。
残穢から判断し、地面を溶解させたものが『窓』が確認した呪霊と判断する。現場の状態や神域に等しい座標から鑑みてこの呪霊を「特級火葬神霊アマテラス」と仮称する。
上記の特級神霊を祓った者の残穢を調査した所、未登録の呪術師と断定。過去の未解決の呪詛師案件の事件の残穢とも照合結果が合わなかった為犯罪歴は無しとし、継続調査をするものとする。
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────ぴんぽーんっ。
山沿いの木造の一軒家。田舎特有の地主の屋敷のような都会では豪邸扱いされる家のチャイムを押したのは、胡散臭い目隠しをした白髪の男。それを出迎えるのはエプロン姿の高校生。
「はーい!…えーと、どちら様?」
「君が千葉巡君かぁ。君、呪術高専に入学する事になったから」
田舎では無いが、よく訪ねてくるのは顔見知りの爺さん婆さんと高校の知り合い位である。久しぶりに遭遇した初対面の相手は、伝えていない名前を把握して意味のわからないことを言ってくる胡散臭い人だった。よく顔を見ればヘラヘラして芯が無いように見えて一本軸がしっかりしていたり、常人とは違う様な雰囲気をヒシヒシと感じてしまう。
無性に逃げ出したい気持ちになってしまったが今日は休日。街中で会ったなら逃げられたがここは実家。それに、心当たりはあった。
「……とりあえず、お茶飲みます?」
返事を聞く前に元々居た台所に戻り火を消して、来客用と自分用の湯呑みを取り出す。玄関で待っているのかと思ったがなんにも言わず勝手に居間まで移動している様子だ。
自由な人だな、と楽観的に考えながらも、先程彼が言った「呪術高専に入学する事になったから」という言葉を咀嚼する。
現在巡は17歳。普通の高校に通う現役高校生である。来年には大学受験も控えているのに何を言うのかと疑問が尽きない。
「お待たせしました。羊羹くらいしか無かったけど良かったら食べてください」
「悪いねぇ〜。あ、僕は五条悟。よろしくぅ。君が高校2年生ってのも、経歴に不審な点が無いことも確認済みだけど、8月■□日に帳も降ろさないで「特級火葬神霊アマテラス」を祓っちゃったのはダメだったね。場所が場所だったから上層部が騒がしかったけどそれは僕の権限で黙らせた。でもこのまま一般人で居れば厄介事は免れられない。君の選択肢は多くないよ ?」
ぐだぁっと長い脚を伸ばし畳の上でダラける五条悟と名乗った男の目の前に茶と茶菓子を置く。彼が名乗りながら雰囲気と同じように緩く手をふらふらと振る仕草を見せたかと思えば、一瞬で空気が重たいものに変わる。必死に眼を切り替えないように務めながら、目の前の男を真っ直ぐに見つめる。
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