ハーメルン
スネイプ家の双子
11 大切な人達!


ルイスはドラコと、そしてドラコのボディガードのように少し後ろを歩くゴイルとクラッブと共にスリザリンの監督生である男子生徒に引率されながら地下へと向かっていた。

石造りの廊下や階段を下り、どこかひやりとした雰囲気の地下深く、そこには一つの扉がありその上には壁や扉と同じ灰色をした石像の蛇が生徒たちを見下ろしていた。
その扉は取手やドアノブの無い、奇妙な扉だった。


「この蛇に向かって合言葉を言うんだ。合言葉は定期的に変わる、他寮の人間に伝えないのは勿論だが…くれぐれも忘れないように」


監督生の男も勿論、先ほどの組み分けをしっかり目撃していた為、ルイスが別の寮の生徒──ソフィアを連れ込むのではないかと危惧し、厳しい目でルイスを見ながら伝えた。
その目にルイスは少し肩を竦める。
流石のルイスも超えてはいけない境界線や、分別はついているつもりだ。他の生徒からの信頼を壊すような悪戯をするつもりはなかった。


「合言葉は…──穢れなき血」


その言葉に反応して蛇の石の目が光り、ゆっくりと這うように動くと本来ドアノブがある場所へと向かい、静かにその場で鎌首をもたげた。
監督生はドアノブの代わりとなった蛇を掴み押し開ける。見た目は重そうな石の扉だったが、するりと直ぐに扉は開かれる。


「入ってすぐが談話室だ。一年生は先に自分の部屋を確認しなさい」


その声にぞろぞろと一年生達は扉を通り談話室へと入っていった。
石造りの細長い談話室は中々に広く、天井や壁にかけられたランプの炎は少し緑がかり揺れている。
至る所に壮大な彫刻があり、黒い革張りのソファが数脚一番奥にある暖炉を囲むように配置されている。それらはランプの光に照らされ輝いていた。

少し冷たい印象を与える談話室だが、静かな空間を好む者が多いスリザリンらしい談話室だった。

ルイスは談話室傍にある男子寮へと降りていく、そこは石造りの地下牢を模した構造になっていた。生徒を地下牢で寝泊まりさせるなんて、少し悪趣味ではないかとうっすら考えた。


「ルイス!…同室のようだぞ」
「え?…本当だ!」


扉の一つに貼られた紙にはドラコ・マルフォイとルイス・プリンスという2人の名前が書かれていた。他の部屋に貼られた紙にはどうやら3人分の名前が書かれている事から、2人分余ってしまったのだろうとルイスは考えた。
昔からの友人のドラコと2人部屋というのはルイスにとってかなり都合が良かった。勿論、緊張する事なく過ごせると言う事もあるが、父のことをうっかり話したとしてもドラコにならば問題が無い。
まさか、それを見越してのこの部屋割りなのか、とルイスは考える。それなら、愛しい片割れは一人で秘密を守り続けなければならなくなる、グリフィンドール寮には自分達の秘密を知っている者はいない。

ルイスはふと、誰が本当の秘密を知っているのかと考えた、ダンブルドアは勿論だが、他の教師は知っているのだろうか?この事はいつか父に確認しなければならない、そうルイスは思った。


「僕は疲れたから…もう寝るよ、ルイスは?」


ドラコは欠伸を噛み殺し、目を擦りながらルイスに問いかける、ルイスは自分の荷物を片付けていた手を止め少し悩むように顎に手を当てた。

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