ハーメルン
スネイプ家の双子
12 私たちを離すことはできない!



ホグワーツでの授業が始まった。
大多数の一年生は授業の内容が自分が想像していたよりも複雑で難しい──時には酷く退屈で──事を知り、授業についていくだけで必死だった。休み時間や自由時間に校内を散策する暇もなく、彼らは山ほど出される宿題をこなさねばならなかった。

ソフィアは同じルームメイトであるハーマイオニーと一緒に行動する事が多かった。ただ大広間で食事を取るときにはハーマイオニーと別れルイスの元へと向かっていた。
ハーマイオニーは友達を作る事が得意ではない、彼女は自分自身、そう自覚している。
人にも自分にも厳しく律するその性格が疎まれてる原因だと幼く賢い彼女は分かっていた。それでもハーマイオニーはこの性格を変えるつもりはなかった。
自分の正しさに間違いはない、間違っているのは周りであり、いつか痛い目を見るのだ、そうしてそれ見た事か、だから言ったでしょう。と、そうなれば周囲も自分を認めるはず。私はマグルの世界から来た、もっともっと努力して、周りから認められなければ。
そう、ハーマイオニーは一人でどこか味気ない料理を食べながら自分自身に言い聞かせる。


スリザリンカラーのネクタイで彩られる長机の後方に一人赤いネクタイが混じっていたが、最早その事について誰も何も言わなかった。
周りの者は見て見ぬふりをしよう、そう決めたのだ。


入学式の次の日の朝。
ソフィアはルイスを見つけると直ぐにスリザリン生のみが集まる机に一瞬も躊躇う事なく座った。 


「おはようルイス!」
「おはようソフィア、いい夢は見れた?」
「うーん、まあまあね」


2人はお互いの頬に軽くキスをして朝の挨拶を交わす。それを机を挟んだ前の席で見ていたドラコは、周りの突き刺すような目に慌ててソフィアに声をかけた。


「ソフィア!」
「ああ!ドラコもおはよう!」
「あ、ああおはよう…って違う!挨拶が済んだのなら直ぐに向こうに行け」


スリザリン生のみが集まるこの机にいる異分子を周りがよく思っていないのは火を見るより明らかだ。まだ誰も咎める事がないのは──その分視線で訴えかけてはいるが──昨日の組み分けの儀式を見たからだろう。朝の挨拶くらいは目をつぶってあげよう。そう彼らは思い黙っていた。

しかし、ソフィアはそんな周りの視線など微塵も気にせず、目の前の皿からトーストを取るとぱくりとかぶりついた。
 

「何故?」
「何故って…グリフィンドールはあっちだ」
「ドラコ、別に式典で無い限り、大広間のどの席で食べようと自由なのよ?」
「いや、それは…」


それはドラコも知っていた。だが、実際は四つ並んだ長机にそれぞれ各寮の生徒が座っている。定められて居なくとも、暗黙の了解として皆が守っている。


「だが…」
「私はぜっっ…たいにここから移動しないわ」
「…ソフィア、僕も一緒に食べたいけど…ここはいう事を聞いた方が…」


ルイスの嗜めも聞かず、ぷい、とソフィアはそっぽを向いた。
ソフィアもまた、ルイスと同じで片割れが関わる事に対してはかなり頑固だった。
ドラコとルイスは顔を見合わせ呆れたような目でソフィアを見た。


「あー…ミス・プリンス?ここはスリザリン寮で…私たちは同じ寮の者だけと食事を取りたいのだよ。他の寮…それも、グリフィンドールの色が視界に映るだけで…吐き気をもよおすからね、食事どころじゃなくなるんだ」

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