ハーメルン
スネイプ家の双子
13 楽しい罰則!



ルイスは立ち上がると興味深そうに一つ一つを見て、瓶に書かれたラベルを熱心に読んでいた。


「生ける屍の水薬!…真実薬まで!…えっ…こ、これってもしかしてフェリックス・フェリシス!?…凄い…あっ!これは…サラマンダーの血液かな…ベゾアール石まで!かなり貴重なのに…」


ぶつぶつと呟き、時折歓声を上げながら興奮するルイスを、ソフィアはソファの背に腕を乗せ頭を預けながら見ていた。
魔法薬学が好きなルイスとは違い、ソフィアはあまり魔法薬学が好きではなかった。
得意では無い、とも言い換える事が出来るだろう。


「ルイスって本当に魔法薬学が好きなのね」
「うん!だって、材料の組み合わせと調合が完璧に合わないと薬は完成しないんだよ?それを編み出した過去の偉大な賢者達は…本当に素晴らしいと思わない!?それに、魔法薬ってさ、本当に、運命も操作出来るんだ!このフェリックス・フェリシスは幸運の液体とも呼ばれていて──」
「オーケー、もういいわ!」


まだまだ話は続きそうだった為、ソフィアは無理矢理ルイスの言葉を遮る。ルイスは少しムッとしたが、気を取り直して再び棚に収められている薬や材料をまじまじと見た。


「ソフィアは魔法薬学が嫌いか?」


セブルスは紅茶の入ったカップを机の上に置き、ソフィアの隣に座った。
ソフィアはカップのなかに角砂糖を3つほど落としティースプーンでかき混ぜながら少し申し訳なさそうに、セブルスを見た。


「うーん…嫌いじゃないわ。筆記試験ならきっと完璧よ!…でも、魔法薬作りは…苦手なの」
「ソフィアは大雑把過ぎるんだよ!なんで手順はわかるのに適当にしちゃうのかなぁ?」


充分に薬や材料を見たルイスはセブルスの隣に座り、紅茶の中にミルクを少し垂らしながら言った。心の底からわからないという彼の言葉に、ソフィアは熱い紅茶をちびちびと飲みながら眉を寄せる。


「だって…右に掻き回すのも左に掻き回すのも同じじゃない?違う意味がわからないわ!」
「同じじゃないよ!」


ルイスは首をぶんぶんと振り、セブルスは我が子の魔法薬学に対する考えの無さに頭を痛めた。そもそも、仮にも魔法薬学を教えている自分に堂々とこんな疑問を向けるとは思わなかった。


「材料によっては、攪拌する方向により効能が変わるものもある。…いずれ学ぶこととなるだろう」
「えー…私、別に作れなくてもいいもの!魔法薬が欲しい時は父様に作ってもらうわ!」


胸を張って言うソフィアを、どこか可哀想な物を見る目で2人は見た。


「ソフィアには魔法薬学の美学がわからないんだね…」
「…嘆かわしい事だな」
「な、何よ!」


2人の視線にソフィアは少したじろぎ、じろりと睨み返したが、ルイスとセブルスは素知らぬ顔で紅茶を飲んだ。


「あ、それより…父様?僕たちと父様の事を知っているのは誰なの?」
「教師では、マクゴナガルとダンブルドアだけだ。マクゴナガルはグリフィンドールの寮長だからな、伝えないわけにはいかん」


ソフィアがグリフィンドールに組み分けされた日の夜、セブルスはマクゴナガルと共に校長室に向かった。
その場でルイスとソフィアは自分の子どもである事をマクゴナガルに伝えた。わざわざ話す場を校長室にしたのは、きっとダンブルドアが居なければ信じないだろうと思ってのことだった。

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