13 楽しい罰則!
調合ひとつで薬の効能は変わり、それこそ、ミスを犯せば大惨事になりかねない。
贔屓というよりも、グリフィンドール生には手を焼かされ仕方のない減点の、つもりだった。
「…真面目に授業を受けていれば減点はせん」
「えー?加点はしないのかしら?」
「…加点に相応しい功績を残せば、どこの寮であろうとも…加点する」
「まぁ!じゃあやっぱり私は加点されないわ!何たる不幸なの!…しくしく」
セブルスの言葉にソフィアは演技かかった口調で嘆くと、セブルスの肩にもたれかかるようにしてさめざめと泣く振りをした。
それを見たルイスも、同じようにそっとセブルスの肩にもたれかかる。
よく、家ではこうして一つのソファに3人で座り色々な話をしたり、本を読んでいた。
父の微かな温もりを半身に感じて微睡む事が、ルイスもソフィアも大好きだった。
「…父様…たまには、ここに来ても良い?」
ルイスは手に持つ冷えたカップを見つめたまま呟く。
その声は、今までのような明るい物ではなく、何処か寂しさと甘えが含まれていた。
セブルスはそっとルイスの肩を抱き、ゆるりと頭を撫でた、さらさらとした柔らかい髪質。亡き妻に──2人の母親によく似ている。
「…ホグワーツに入学する時の約束は、覚えているだろう。…頻繁に会うことは出来ん」
「……、…そっかぁ…」
「…父様は罰則を与える時は研究室に呼ぶ事が多いのかしら?」
「まぁ、罰則だからな、薬の下準備をさせることも…。…ソフィア、何を考えている?」
「なーにも!」
悲しげにするルイスとは対照的に、ソフィアは何か企むかのような悪戯っぽい笑顔を見せていた。
それからしばらく3人は親子として、限られた少しの幸せな時間を共に過ごした。
──後日談として、次の日のセブルス・スネイプの髪は汚れがさっぱりと取れ、さらさらと歩くたびに靡いていた事をここに記しておこう。
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