15 待ちに待った魔法薬学!
ついにその日がやってきた。
ソフィアとルイス、2人が待ちに待った魔法薬学の授業だ。
もっとも、魔法薬学が苦手なソフィアは授業そのものを楽しみにしているわけではない、父親と兄に会える事が嬉しいのだった。
ソフィアはハーマイオニーと共に魔法薬学の授業が行われる地下牢へと向かった。
扉を開ければすでに何人かのグリフィンドール生とスリザリン生が席についていた、ソフィアはキョロキョロとあたりを見渡し、目的の人を見つけるとぱっと輝かしい笑顔を見せすぐに駆け寄った。
「ルイス!」
「ソフィア!やっと一緒に授業を受けられるね!」
「ええ、待ち望んでいたわ!…2人の再会の場としてはちょっとロマンチックさはない場所だけどね」
「えー?僕はこの雰囲気、嫌いじゃないけど」
ソフィアはルイスの隣に座り、ハーマイオニーは少し悩んだ後椅子ひとつ分空けてソフィアの隣に座った。
ルイスの隣にはスリザリン生であるドラコが座っている、あまり近付くと面倒な事になるかもしれないとハーマイオニーは思ったのだった。まだ、ハーマイオニーはドラコがどんな人間かを知らなかったが、この時の彼女の勘は冴えていたと言えるだろう。
グリフィンドール生とスリザリン生が集まり、授業の開始時刻になった瞬間、教室の扉が開け放たれセブルスが黒く長いマントをはためかせながら現れ、滑るように教壇へと向かう。
セブルスはソフィアとルイスには一切視線を合わせる事なく一度教室内をゆっくり見渡す。その雰囲気に誰もが背筋を伸ばし、口を固く噤んだ。彼の授業でふざけてはいけない、そう皆が思った。
セブルスはまず静かな声で出席を取る。ルイスとソフィアの名前を呼ぶ時も、彼は他の生徒と同じように呼んだが、ふと、ハリーの名前で少し止まった。
「ああ、さよう。ハリー・ポッター…我らが新しい…スターだね」
その含みを見せる甘い猫撫で声に、ドラコとその取り巻きはくすくすと冷やかし笑いを零し、ソフィアとルイスは驚き目を見合わせた。
父親の揶揄うような甘い声など、子どもの自分達ですら聞いた事がなかった。
「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。このクラスでは杖を振り回すような馬鹿げたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。──フツフツと湧く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力…諸君がこの見事さを真に理解できるとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である。ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
長い演説に、教室内の気温が下がったかのような気さえした。
息遣いが聞こえてしまいそうな程の静寂の中、肩を震わせ必死に笑い声が漏れないようにしていたのはルイスとソフィアであった。
父親がこれ程長く話すのを初めて聞いた2人はバレないように必死に湧き上がった感情を抑えようと努めた。
「ポッター!アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
セブルスが突然ハリーの名を叫ぶように呼び、質問をする。まさか当てられると思わなかったハリーは動揺しながら「わかりません」と答えた。
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