ハーメルン
スネイプ家の双子
16 待ちに待った魔法薬学その2!


その後2人1組となり、おできを治す簡単な薬を調合する事になったが、グリフィンドールの状況はよくなる事はなく、むしろ酷くなる一方だった。ドラコ以外はどんな些細な事でも注意を受け、セブルスが黒いマントをひるがえし近付くたびに皆身体をこわばらせた。
ただ、1人、ソフィアを除いて。


「先生、私ヘビの牙を紛失してしまいました」
「…予備の物を使え」
「先生、私の秤どうやら壊れているみたいで動きません」
「…隣の生徒のを借りなさい」
「先生、角ナメクジですがもう少し大きい個体に変更してくれませんか?」


ソフィアはセブルスが自分から最も離れたタイミングで何度もセブルスを呼び、教室の端から端を移動させた。同じ組みとなり作業をしていたネビルは顔を蒼白にさせなるべく2人の静かな攻防を見ないように身体を縮こませ俯きながら作業に取り組んだ。


「…ミス・プリンス、どういうつもりかね?」


セブルスが静かに問いかける、その氷のように冷たい声にも、ソフィアは屈する事なくむしろ挑戦的な目でセブルスを見上げ薄く微笑んだ。


「先生、私は調合が苦手なんです、なので完璧に仕上げる為に少しでも不安な事は取り除きたいんです。調合は、繊細で、複雑で、少しのミスも許されないものでしょう?…まさか、先生は生徒の不安な気持ちを押しはかる事なく授業をお進めになるのですか?」


ソフィアの言葉は教室内によく響いた。
ハリーはソフィアの勇気を内心で誉めると共に、あまりにもそれは無謀な勇気ではないかとも、心配になった。間違いなくまた減点される。


「…ならば、もう疑問は無いようだな?」
「…、…はい、そうですね」


ソフィアは自分の目の前にある材料が完璧に準備出来てしまったことに気付き、何も言い返す事が出来ず頷く。
セブルスはひらりとマントを翻し、また見回りへと戻った。


「…ソフィア…君、凄いね…僕なんて…スネイプ先生が近くに来るだけ…震えて…怖くて…」
「ネビル…巻き込んでごめんなさい、ちょっと…腹が立ったの」


ネビルは震えながら小声で言うと曖昧に微笑んだ。あの怖いスネイプ先生に文句を言うなんて、僕はきっと大人になっても無理だろう。せめて調合を成功させ、怒られないようにしないと。と、焦りながらネビルは教科書を見て、ソフィアが完璧に準備した山嵐の針を手に取った。
 

「ええっと…次は山嵐の針をいれる…」
「そうよ」


ソフィアが頷いたのを見て、ネビルは机の上にある山嵐の針を掴み、大鍋に入れようと腕を上げる。
それを見たソフィアは目を見張り慌てて叫んだ。


「ネビル!待って!!」
「──え?」


ソフィアが静止するよりも先にネビルは手を離していた。大釜に針が吸い込まれるのを見たソフィアは咄嗟にネビルの腕を強く引き、彼の頭を守るように胸の中に強く抱くと大釜に背を向けた。

爆発音と共に大釜から緑色の煙が上がり、シューシューと大きな音が広がる。大釜は溶けて黒い小さな塊になり、溢れた薬が石の床を伝って広がる。
靴はその薬に触れると、じゅっと焦げた音を立てて溶けてしまい、生徒たちは悲鳴をあげ椅子の上に避難した。



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