ハーメルン
スネイプ家の双子
16 待ちに待った魔法薬学その2!

「ソフィア!!」


少し離れた大釜でドラコと作業していたルイスはその中央に居るのがソフィアだと気付き、叫ぶとすぐに駆け寄る。薬を踏み、靴が溶けて焦げ穴を開けていたが全く気にしなかった。

ネビルはソフィアに引き寄せられ薬の直撃は免れたものの、腕と足に薬を被り真っ赤なおできが噴出し、痛さに呻き声を上げていた。
が、ソフィアの方が被害は甚大だった。


「ソ、ソフィア…!ぼ、僕…ごめんっ…!」
「──っ…いいの、大丈夫よ…」


ソフィアは力なく笑ったが、その顔は苦痛から歪められ額には汗が滲んでいた。ネビルは顔を蒼白にし、涙を流しながら何度も謝った。


「ソフィア!ああ…!酷いっ…!」


駆け寄ったルイスはソフィアを見て、思わず悲痛な叫びを上げた。
ネビルに覆いかぶさるようにしていたソフィアはその背中に薬を被り、背中の広範囲におできが広がっていた。


「馬鹿者!」


セブルスは怒鳴り、杖を一振りして、溢れた薬を取り除いた。
そして薬を被ったネビルとソフィアを見て、ぐっと表情を険しくさせ苦々しく呟く。


「…おおかた、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針を入れたんだな?…ミスタープリンス、2人を医務室へ連れて行きなさい」
「…はい、…ネビル、ソフィア…立てる?」
「うん…大丈夫…」
「…なん、とかね…」


ネビルは痛む足に呻きながらもよろよろと立ち上がり、ソフィアもルイスに肩を借りながら何とか立ち上がり、ゆっくり地下室を後にした。

セブルスは扉が閉まるまで3人を──いや、ソフィアだけを見ていた。薬を被り爛れた背中、白いソフィアの背中は赤いおできと膿で埋め尽くされていた、治っても、跡が残ってしまったら──。
沸々と怒りが溢れ、セブルスはくるりと振り返るとその怒りの矛先をハリーに向け、グリフィンドールからさらに一点を減点した。
あまりに理不尽な減点にハリーは言い返そうかと思ったが、ロンに止められてしまい苦々しく思いながらも口を閉ざした。




ネビルとソフィアはルイスに付き添われながら医務室になんとか辿り着く事ができた。

マダム・ポンフリーはすぐにおできを治す薬をネビルの足や腕にちょんちょんと塗る。するとおできはすぐに小さくなり、見る見るうちに消えた。
ソフィアの背中を見たポンフリーは別の飲み薬の入ったゴブレットを手渡した。


「ロングボトムはあまり薬を浴びずに済んだようですね、数時間もすれば良くなるでしょう。…ミス・プリンス…貴女は薬を大量に浴びましたね?今ここにある薬では…完璧に治す事は難しいでしょう、今出来るのは痛み止めを飲む事くらいです」
「そんな!…そんな、ポンフリー先生、ソフィアの怪我は…治らないんですか?」


ルイスは絶句し、なんとかならないのかとポンフリーを見た。ネビルもまた自分のせいだと強く後悔し、目に涙を貯めた。


「いいえ、スネイプ先生にもっと強力な薬を作ってもらいます、…そんなに心配せずとも、貴女の怪我も綺麗に治りますよ」
「…ありがとうございます」


ソフィアは苦い薬を飲み干し、口の中に残る不味さに顔を見て顰めながら少しだけ笑って見せた。ネビルのせいでは無い、自分がちゃんと見ずに針を入れていいと言ったからだ、火を消したかどうか確認するべきだった。

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