ハーメルン
【完結】スネイプ家の双子
17 闇の魔法?何だっていいさ!



ソフィアが魔法薬学の授業で失敗し、未完成な薬を被り大怪我をした、死の縁を彷徨うほどらしい。

その事実とは少々異なる情報はホグワーツ内に静かに広がった。
フレッドとジョージはすぐにお見舞いに行ったが、「治療中です!面会謝絶です!」と直ぐにポンフリーに追い返されてしまった。その事がさらに噂を大袈裟にしたと言っても過言では無い。
ポンフリーが面会謝絶としたのは、単にソフィアは上半身を露わにしている。それを他人に見せる事は出来なかっただけであり、夕方には熱も引きソフィアは至極暇そうにしていたのだが、ルイスですらも面会させて貰えず、誰もその事実は知らなかった。


「ソフィア…そんなに酷いのか?僕からはあまり様子が見えなかったんだ…」
「うーん…まぁ背中は酷かったけど…普通に会話出来たから…何で面会謝絶なんだろうね」


夕食後、ルイスとドラコは自室で宿題を終え、談話室に向かっていた。
ルイスは誰よりもソフィアを心配していたが、兄妹のルイスですら面会は叶わなかった。それもまた、ポンフリーの家族であっても素肌を見られたく無いだろうという気遣いなのだが、この2人がついこの間まで共に風呂に入っていたと知ればいらぬ気遣いだとわかった事だろう。


「──あの女、面会謝絶らしいぜ」
「──いい気味だ」


ルイスは聞こえてきた会話にぴたりとその足を止めた。談話室へ続く扉の向こうで話しているのはソフィアの事をよく思っていない上級生達だろう。彼らはけして自分からソフィアに挑みはしなかったが、大広間での食事の際嫌そうにソフィアを見ていた。


「どうやらかなり酷いらしい」
「今日の食事は久しぶりに静かで安らかだったよ」
「ああ、違いない!あの女…本当に目障りだったからな」
「ずっと伏せっていて欲しいよ」
「噂では、顔が爛れて酷い事になっているらしいぜ?」
「治らず傷の一つでも残れば少しは大人しくなるだろう」
「はは!ルイスもあんな出来損ないが妹で可哀想だよなぁ」
「彼もきっと、心の奥では出来損ないの妹を疎ましく思っているだろう。いつも申し訳なさそうにしている彼が不憫でならないよ」



「ル、ルイス…」

聞こえてきた会話を嫌に静かに聞いているルイスに、ドラコは恐々声をかけた。
この少年が心から妹を愛し、慈しんでいる事はよく知っている。その妹に対してこんな酷い事を言われ、彼が黙っているはずが無い。いつ爆発するのか、そっとドラコはその表情を覗き見た。

だが、ルイスの口元は笑みの形をつくっていた。──ただし、目は海の底を思わせるほど黒く濁り、静かな怒りを燃やし決して笑ってはいなかったが。


「…ドラコ、…あぁ、大丈夫さ、この寮に配属されて…ソフィアと別れてから覚悟はしていたからね」


ルイスは扉にかけていた手を離すとくるりとドラコに向き合い首を傾げて微笑んだ。
その奇妙な笑顔に、ドラコは表情を固まらせ視線を泳がせた。言葉だけを聞けば納得しているかのような静かなものだ、だが、その目は闇のように暗く、それでいて獲物を狙うような獰猛さをちらちら見せている。

こんなにも静かに怒る人を、ドラコは初めて見た。
そして、それがどれだけ恐ろしいかを、齢11にして初めて知った。


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