18 お姫様は悪戯好き!
ソフィアは杖を出すと花火に向けて魔法を放つ、それは彼女が得意とする変身魔法だった。
「花よ!鳥よ!蝶よ!──変身せよ!」
その言葉に反応するかのように花火から出た無数の火の粉は沢山の花弁を散らす花になり、空を優雅に飛ぶ小鳥になり、ひらひらと美しい蝶になった。
銀色に輝くそれらは大広間中を駆け巡り、生徒達の側を掠めた。
「綺麗…」
幻想的な魔法に誰かがぽつりと呟けば、それを皮切りに皆が興奮したように歓声を上げ手を叩く。マクゴナガルでさえも、一瞬怒りを忘れてその美しい魔法に魅入ってしまっていた。
ダンブルドアは椅子に座り、楽しげに笑いながら目の前にくるくると落ちてきた銀色の花をそっと手に取る。それは暫く繊細なガラス細工のような輝きを見せていたが、時間の経過と共に空気に溶けるようにして消えた。
三人は大歓声の中、堂々たる態度で地面に降り立つと、割れんばかりの喝采に手を上げ笑顔で答えていた。
「ウィーズリー!ミス・プリンス!!」
だがそれもマクゴナガルの怒号により直ぐに消え、三人を取り囲んでいた生徒達は怒れるマクゴナガルにさっと道を開けた。
三人は顔を見合わせると、悪戯っぽく笑い、そして──。
「「逃げるぞ!」」
「お待ちなさい!!」
「マクゴナガル先生!ごめんなさーい!」
フレッドはソフィアを肩に担ぐようにして抱き上げそのまま三人はマクゴナガルの静止も聞かず、逃げ出した。
その後、三人はあっさりとマクゴナガルに捕まり──そもそも、本気で逃げるつもりは三人には無かったのだった──長時間の説教とグリフィンドールからの五点減点、そして一週間のホグワーツ清掃の罰則を言い渡された。
この一件からソフィアはよくフレッドとジョージと共に行動し、悪戯を行うようになる。
今まで双子は2人で作った魔法道具を使い悪戯をしていたが、それにソフィアの変身魔法が加わることによりさらに大胆で強烈な悪戯へと進化したと言えるだろう。
ただでさえ教師達はフレッドとジョージに手を焼いていたと言うのに、それに優秀な変身術使いが加わった事に、皆頭を抱えていた。
しかし、生徒達の中には、また幻想的な魔法を見たいと思った者も少なくはなかったようで、彼らの悪戯は肯定的に受け入れられていた。──勿論、スリザリン生を除いて、だが。
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