19 友達だっていいじゃない!
ハリーは魔法界に来て、箒を使い空を飛ぶ事を何よりも楽しみにしていた。だがそれも、グリフィンドールの談話室の掲示板に記された飛行訓練の合同相手がスリザリンだと知るまでだった。
ハリーは見るからにがっくりと肩を落とし、失望を露わにした。
「そらきた。お望み通りだ!マルフォイの目の前で箒に乗って、物笑いの種になるのさ!」
自暴自棄に吐き出されたその言葉に、ロンは慰めるように声をかける。
「そうとも限らないよ。あいつ、クィディッチがうまいっていつも自慢しているけど、口先だけさ」
「あら、ドラコは確かに箒に乗るのはうまいわよ」
ハリーとロンの隣で掲示板を見ていたソフィアは聞こえてきた話に思わず声をかけてしまった。ハリーとロンは驚きながらも嫌そうに眉を顰める。
「ドラコ、だって?君、あいつと仲良いのか?」
「まぁ、ここに来る前からの友達だからね」
「正気かよ!?あんな嫌な奴とよく友達なんかになれるな!」
ロンの心の底から嫌そうな響きに、ソフィアは流石に友達の事を目の前で悪く言われて良い気はしなかった。
それほど嫌悪感を露わにするほどドラコとロンは交流が無いはずだ、確かにドラコはよくハリーに対してくすくすと嫌な笑いを浮かべるが、なにもハリーだけではない、基本的に彼はスリザリン生以外全てを見下している。
「ドラコに何かされたの?」
「あー…ソフィアはホグワーツ特急で…マルフォイが来た時に居なかったからね」
「いつもアイツは嫌味ったらしいじゃないか!」
「…まぁ、好みが分かれる性格はしてるかもしれないわね」
「あんな奴!好きになるやつがいたら頭が狂ってる!」
ロンの言葉に、流石にソフィアは黙っていられず口元に侮蔑したような微笑みを見せながら少しイラついた様子でロンを睨みつけた。
「あら、…なら私の頭は狂っているのね!」
ロンは少し言いすぎたかとも思ったが、一度言った言葉を取り消すつもりは無い、それくらい、嫌な奴だと思っている。ハリーもまた火花を散らすどちらについていいかわからなかった、勿論、ロンの言葉に大賛成なのだが、ソフィアを怒らせるのはあまり良くないと、直感が訴えかけていた。
「ああ!狂ってるね!君も、…マルフォイと一緒にいるルイスもだ!──ぐっ!!」
ロンがその言葉を言い切るのが先か、振りかぶったソフィアの右ストレートがロンの鼻にヒットしたのが先か。
ソフィアは一度だけでは足りなかったのか、よろめいたロンの胸ぐらを掴むと更に右腕を振り上げていた。ハリーは慌ててソフィアを後ろから羽交締めにし押さえこみ無理矢理ロンと引き離した。
「離してハリー!あと1発…いえ、5発は殴らないと気が済まないわ!」
「お、落ち着いてソフィア!」
ソフィアはハリーの腕の中で暴れてもがいていたが、男女の力では振り解く事は叶わず、荒い呼吸をしながら抵抗するのをやめた。しかし、ロンを怒りに満ちた目で睨み続けることはやめなかった。
「見てよ!…鼻血が出た!こんな凶暴な女の子初めて見たよ!?」
「あら、男前になったんじゃない?」
「そんなにマルフォイが好きなのかよ!全くいい趣味してるぜ!」
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